研究実績の概要 |
今年度は,エンジンの吸気管上流位置にプラズマ放電装置を設置して,吸入空気への放電によって発生するオゾンの影響により小型ディーゼルエンジンの燃焼性改善を試みた.吸気管放電装置には陽極に鋸刃状電極,陰極には平板電極を用いて,陽極の刃と刃の間隔は6 mm,電極間距離は25 mmとした.放電条件は設定電流値0, 0.2, 0.4, 0.6, 0.8, 1.0 mAの6条件とした.排気エミッションおよび燃焼圧力の時間履歴から得られる熱発生率の解析から,放電条件の電流値0.8 mA前後で燃焼特性および排気エミッション特性の悪化がみられた.このため0.6 mAでの放電条件が本手法では最も適したものであることを得た. また,関連する過去の研究の知見を基に大気圧より高い雰囲気におけるフィラメント状のプラズマの生成挙動について実験を行った.実験では電極に針および誘電体を積層した平板を間隔1.6 mmに設置したものを用いて,UVレンズを用いて低温プラズマを撮影した.印加した電圧波形は7 kVの正弦波であり,印加周波数は43 kHzである.雰囲気圧力は101.3, 151.3, 201.3, 251.3 kPaとした.針を陽極,平板を陰極に設定したところ,101.3kPaでは針から平板に向かってコロナ放電が見られ,平板上では針の中心軸から放射状に広がるプラズマが形成された.この形態のプラズマは雰囲気圧力の増加に伴い,小さくなり,251.3kPaでは消滅することが分かる.針を陰極,平板を陽極とした場合においても同様の傾向が見られた. また,これまでの実験において低温プラズマ発生用のナノ秒パルス高電圧電源を試作した.しかし,電極間のパルス放電で併発するノイズにより電源の信号回路が停止するため,繰り返しパルスの発生が困難であった.今年度は,ナノ秒パルスの発生にスパークギャップを用いる方法を採用し試作した.
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