研究課題/領域番号 |
20K04945
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
瀧澤 由美 統計数理研究所, モデリング研究系, 准教授 (90280528)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 船舶システム管理 / 平面アンテナ / 円偏波 / 指向性利得 / リモートセンシング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、小型で広帯域な円偏波アンテナの理論的設計法を創出して、高精度な測定システムの基盤技術を提示し、さらに、マイクロ波による円偏波送受信技術を船舶におけるタンク内液面位置計測システム、航空機による環境計測システム等に適用し、液体または 対象物の物性、形状、位置等を知るための技術を開発することにある。 円偏波を用いることにより、対象物の変動によって反射波の偏波面が変動しても、正確に反射波を受信することができ、さらに反転偏波の直交性により送信、左回り偏波により受信することにより、マルチパス干渉を効果的に除去することが期待できる。 2020年度は、(1)円偏波アンテナユニットの帯域幅の拡大と方式検討、(2)広帯域円偏波アレイアンテナの研究を行った。具体的には、三層構造の共振器の新しい構成を検討し、従来、中心周波数の2~5%であった帯域幅を7%に拡張した。さらにアレイアンテナの研究では、背面給電直交配置によるアンテナアレイを構築し、従来困難であった大型の直交配置アンテナアレイの並列給電法を構築した。また、小型化のために高誘電率の基板でのアレイアンテナも検討し、タンカーの液面計に適用するための多くの基礎的知見を得た。 これらの研究成果はIEEE Antenna Propagation Symposium 2020、他、国際学会、国際科学雑誌に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、円偏波平面アンテナの単一特性の向上と、直交配置アレイアンテナの並列給電法、さらにアンテナを構築する誘電体基板に関する特性研究を行うことができた。 予定していた国際学会IEEE APSに発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までの成果を基に、具体的な液面・地表面等位置測定システムへの適用法を検討する。液面等の位置推定方式は、タンカー等のタンク内安全管理に重要なだけでなく、船舶の安全航行のための外部環境のリモートセンシングにも有効である。特に、極地エリアの船舶航行のためのリモートセンシングシステムへの適用方式として、平面アンテナ+パラボラによる高効率のセンシングシステムの実現を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大のため、予定していたIEEE APS 2020の外国出張がWebによるリモート開催になり、昨年度の旅費の使用が減った。 次年度使用額は、昨年度までの成果を基に、今年度、誘電体基板を用いたアレイアンテナの試作と評価に用いる予定である。具体的には、評価用のリファレンスアンテナ(右回り左回り偏波各1台)を購入する計画である。他に、方式検討と試作のための謝金に使用する。
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