研究課題/領域番号 |
20K04951
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
亀山 道弘 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (40373427)
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研究分担者 |
藤本 修平 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (80586686)
谷口 智之 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (20782460)
西崎 ちひろ 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (70570993)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | パーシステントホモロジー / 時系列データ / アトラクタ / 回転円筒試験装置 / 船体汚損 / 表面摩擦係数 |
研究実績の概要 |
本研究では回転円筒試験装置から得られるトルクや回転数の時系列データを対象に位相的データ解析(Topological Data Analysis:TDA)を適用することで、円筒試験体の表面状態の違いを識別する解析手法を開発し、船舶運航時の水生生物の付着などによる船体汚損を判断することに役立つ手法とすることを目的としている。 本年度は、昨年度、実海域に浸漬させて作成したフジツボ類などの水生生物の付着状況が異なる円筒表試験体と凹凸のない基準の円筒試験体を対象に、回転円筒試験装置を用いて回転数を変えて表面摩擦係数(Cf)、回転トルク(Nm)及び消費電力(W)などの運転状態を清水中で計測し、時系列データを取得した。レイノルズ数の増加に伴い、表面摩擦係数は一定値へ漸近的に低下し、回転トルクと消費電力は増加した。同じレイノルズ数で比較した場合、回転円筒試験体の表面凹凸量の増加に応じて、表面摩擦係数、回転トルク及び消費電力は大きくなった。また、異なるレイノルズ数で回転トルクなどの平均値が同じ場合、表面凹凸量の大きい回転円筒試験体の時系列データの変動幅はより大きくなった。 回転円筒試験装置で計測した時系列データに基づいて作成したアトラクタを対象にパーシステントホモロジーを適用して回転トルクなどの運転状態の特徴値を抽出し、回転円筒試験体の表面凹凸量の違いを識別する学習モデルをサポートベクトルマシン(SVM)を用いて作成した。回転円筒試験の時系列データなどを対象に作成した学習モデルを適用した結果、開発した本解析手法が試験体の表面状態の違いを的確に識別できることを確認した。一方、アトラクタ再構成の時間遅れや特徴値の設定方法及び学習データの作成方法などの解析条件が識別結果に影響を与えるなど、本解析手法を実船での船体汚損の判断に適用するためには実船データを用いた検討が必要なことが明らかになった。
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