研究課題/領域番号 |
20K04953
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
益田 晶子 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (10322679)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ブラックカーボン / 光吸収 |
研究実績の概要 |
ブラックカーボンの光吸収に影響を与える因子として、ブラックカーボン自体の炭素構造(グラファイト炭素、アモルファス炭素等)のほか、排ガス中の有機炭化水素によって、ブラックカーボン表面に被膜が生じると、有機炭化水素(ブラウンカーボン)の色の影響、レンズ効果による特性変化が生じると考えられる。そこで、燃料油を燃焼させ、排ガスから捕集した粒子に吸着した炭化水素を抽出して成分を調査した。その結果、ブラックカーボンの前駆物質である多環芳香族炭化水素のほか、飽和炭化水素、不飽和炭化水素が検出された。比較的分子量の小さな炭化水素は、ガス状のまま排出され、ブラックカーボンには吸着されないが、分子量が大きい炭化水素、疎水性の高い炭化水素はブラックカーボンに吸着しやすいことが明らかになった。 また、ブラックカーボンの前駆体である多環芳香族炭化水素などの芳香族炭化水素は、燃料の燃焼で生じるほか、元々燃料油中に含まれているものもある。燃料油中に芳香族炭化水素が含まれていると、そのままブラックカーボンの前駆物質となるため、実際に燃焼時のブラックカーボンが増加することが知られている。このような「原料」がブラックカーボンの炭素構造を決めると考えられることから、燃料油中に元々存在する飽和炭化水素、不飽和炭化水素(芳香族炭化水をを含む)の組成を知る必要がある。そこで、燃料成分を分析するための高速液体クロマトグラフィーをもちいたシステム構築をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ感染症の影響で長期間在宅期間があったことから、当初の研究計画を一部変更し、燃焼試験を先行して行った。
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今後の研究の推進方策 |
燃料の組成を変え熱分解反応試験を行い、昇温に従っておこる気化・分解・炭化反応生成物を分析する。燃料組成を変えた場合の燃焼試験を行い、発生したガス成分の分析、ブラックカーボンのフィルター捕集を行う。ガス成分およびブラックカーボンに吸着した炭化水素成分について分析を行うとともに、ブラックカーボンの集合体の構造を電子顕微鏡で観測する。
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次年度使用額が生じた理由 |
在宅勤務期間があったため、一部研究計画を変更し実施したことによる。今年度は実験消耗品、配管部品、および研究補助員人件費に使用する。
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