研究課題/領域番号 |
20K04956
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
小林 充 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (10373416)
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研究分担者 |
佐藤 圭二 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (90734244)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 物体検出 / 画像処理 / 航海計器 / 自動運航船 |
研究実績の概要 |
本件は形状が多様・不特定な海上浮遊物のカメラによる検出を目指している。今年度はアルゴリズム調査、実装、水槽での撮影・検出実験、実船での撮影・検出実験を行った。 まず、アルゴリズムについては、①AKAZE(Accelerated KAZE)特徴点検出アルゴリズムで画像からエッジやコーナーなど特徴のある部分を抜き出す②直前と現在の画像における特徴点群について、類似する特徴をもつ特徴点同士をマッチングさせリンクを定義する③座標差が大きいリンクを削除する④DBSCAN(Density-Based Spatial Clustering of Applications with Noise)クラスタリングアルゴリズムで特徴点の密度によるクラスタリングを行い、密度の薄い領域を排除し特徴点が集合している塊を障害物とする⑤障害物のBounding BoxをSORT(Simple Online and Realtime Tracking)アルゴリズムでトラッキングしIDを設定する、という処理を行い障害物の検出とトラッキングを実現するとともに、白波や光源の水面反射等の非障害物の検出を抑制できることが分かった。 水槽や実海域でラジコンボートを走行させ、検出実験を行ったところ、60pixel以上の障害物影像を安定的に検出できることが分かった。比較として、YOLO v8(実験対象映像で再学習していないもの)で検出を行ったところ、出力カテゴリにboatがあるにもかかわらずほぼ全く検出しなかった。 実用上の課題としては、輪郭のぼやけた障害物画像(①の処理で特徴点を抽出できない)、船体動揺や操舵などで視野が移動する場合(③で特徴点が削除されてしまう)、日光反射などで明暗ノイズが大きい場合(④のクラスタリングで排除できない)というものがある。来年度はより現実的なアルゴリズムの検討を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の遅れにより、1年間の期間延長を申請した。一方で、今年度はアルゴリズムの実装と実験で大きな進捗を実現した。
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今後の研究の推進方策 |
アルゴリズムにまだ改良の余地があるため、実海域画像での撮影資料をもとに、アルゴリズムのブラッシュアップを行い、精度を高めたい。 また、今年度は研究計画に沿った画像処理的な手法で機能を実現したが、来年度はこれにあわせ研究計画になかった深層学習による2値分類(障害物であるか海面であるか。障害物が何であるかは問わない。時系列画像を入力させる)の手法を試してみたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
1年間期間の延長をしたため、この期間の人件費(プログラミング補助)と実海域試験のための旅費、学会発表旅費等に充てる。
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