研究課題/領域番号 |
20K04958
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
後藤 允 北海道大学, 経済学研究院, 准教授 (30434286)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | リアルオプション / 環境投資 |
研究実績の概要 |
1. RPS目標値,企業の環境投資,社会的厚生の3つの相互作用を分析可能なモデルを構築した.企業投資行動の動学的分析に対して確率論的厳密性を確保するため,Verification Theoremを調べたところ,収益関数が2次形式のため従来の方法では定理を証明できないことが分かった.問題を環境問題から一般化し,確率制御問題として定式化して問題を分析し直した.費用関数については,Siddiqui et al. (2016)の関数が利用できない形になったため,独自に設定した.この成果は,2020年度数理解析研究所共同研究(公開型)「ファイナンスの数理解析とその応用」,日本リアルオプション学会2020年研究発表大会にて発表した. 2. 1で導かれる非線形連立方程式の数値計算アルゴリズムを構築した.プログラミング言語はPythonを使用し,収益関数が2次形式であることによる制約条件への影響を考慮し,繰り返し計算の途中で条件を判定して次のループへ遷移するように工夫した。 3. 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)の共同研究から引き続き,カリフォルニア大学サンタクルーズ校のYihsu Chen教授との共同研究を継続した.ただし,コロナ禍の影響で対面の交流はできなかったため,オンラインにて実施した.この点については,対面による共同研究のような爆発的な進展が得られなかったことが残念な点として挙げられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」にあるように、当初予定していた研究テーマ(3つの相互作用を分析するモデルの構築,数値計算アルゴリズムの構築・実証分析)で進捗が得られた.また、カリフォルニア大学サンタクルーズ校のYihsu Chen教授との共同研究を継続することもできた.よって、研究は予定通り順調に 進行していると結論づけた。
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今後の研究の推進方策 |
問題を環境問題から一般化し,確率制御問題として定式化した問題の分析を完成させる.さらに,政策決定者の費用関数をモデル化し,社会的厚生を最大化するRPS目標値を求める.また,カリフォルニア大学サンタクルーズ校のYihsu Chen教授との共同研究を継続する.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により,国内旅費・外国旅費の執行ができなかった.翌年度以降に状況を見ながら,積極的に研究成果発表と研究打ち合わせを実施して予算を執行していく.
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