研究課題/領域番号 |
20K04958
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
後藤 允 北海道大学, 経済学研究院, 准教授 (30434286)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | リアルオプション / 環境投資 |
研究実績の概要 |
1. 昨年度に引き続き、確率論的厳密性を確保するために,収益関数が2次形式の場合の一般化した確率制御問題のVerification Theoremの分析を進めた。この成果は,日本経営工学会2021年春季大会にて発表した. 2. 本研究の応用として,感染症リスクの制御問題を分析した.具体的には,ワクチン接種の社会的費用と便益を考慮した場合の最適なワクチン接種閾値を調べるために,確率的SISモデル環境下のリアルオプション・アプローチを開発した.さらに,伝染病を抑制するための政策としての集団免疫レベルを示すために,日本におけるCOVID-19のケースの数値計算を行なった.この成果は,2021年度数理解析研究所共同研究(公開型)「ファイナンスの数理解析とその応用」,日本リアルオプション学会2021年研究発表大会にて発表した. 3. 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)の共同研究から引き続き,カリフォルニア大学サンタクルーズ校のYihsu Chen教授との共同研究を継続した.ただし,コロナ禍の影響で対面の交流はできなかったため,オンラインにて実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」にあるように,昨年度に引き続き,確率論的厳密性を確保するための一般化問題の分析で進捗が得られた.さらに,本研究の応用として,感染症リスクの制御問題を分析した.また,カリフォルニア大学サンタクルーズ校のYihsuChen教授との共同研究を継続することもできた.よって,研究は予定通り順調に進行していると結論づけた.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画どおり,3つの相互作用を分析可能なモデルをゲーム理論的分析によって企業間の相互作用を追加したRPS目標値を求める.問題の性質からも分析は非常に複雑になることが予想されるが,電力市場への参入競争環境におけるリアルオプション分析に関する研究業績をもとに,競争環境への拡張を試みる.その後,昨年度構築した計算アルゴリズムを応用して,競争環境における非線形連立方程式の数値計算アルゴリズムを構築する.また,カリフォルニア大学サンタクルーズ校のYihsu Chen教授との共同研究を継続する.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により,国内旅費・外国旅費の執行ができなかった.翌年度以降に状況を見ながら,積極的に研究成果発表と研究打ち合わせを実施して予算を執行していく.
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