研究課題/領域番号 |
20K04962
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森田 浩 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (60210176)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 配送計画 / ドローン / 数理最適化 |
研究実績の概要 |
インターネットショッピングの普及などにより、配送量の増加や配達員の不足などが問題となっている。本研究課題では、この問題の解決策として、ドローンなどの補助配送の活用を検討する。ドローンのみの配達では配達範囲に制限があるため、ドローンを補助的に活用したトラックとのハイブリッド型の配達方法を考える。山間地などでは広範囲にわたる配送地域を効率よくカバーするために、さまざまな輸送形態を上手に組み合わせた方策を取り入れることは、地域の持続可能性を維持するためにも重要である。まず、ある決められた配達先に対して配達時間が最短となるようなドローンとトラックの配達ルートを決定する問題を取り上げ、従来のヒューリスティックに基づくアルゴリズムに対して、数理計画法に基づいた解法を開発し、より精度の高い解を与えることを目指している。本年度では、配達時間が最短となるようなドローンとトラックの配達ルートを決定する問題を数理計画問題として定式化し、整数計画ソルバーで解いている。小規模な問題に対しては、従来法と比較して有効な解を導出できることを確認した。配達件数が多くなると莫大な計算時間が必要となるため、トラック配送ルートの決定アルゴリズムに巡回セールスマン問題で採用されている局所探索法を取り入れたり、ドローンによる配送先を2段階で探索したりするなどの工夫を行った。その結果、対応できる規模を拡大することができ、研究の基盤となる数理計画モデルを構築することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍において、現状把握のための情報収集が実施できていない。成果報告のための活動もできなかったが、残りの2年間で対応すべく計画を立て直している。
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今後の研究の推進方策 |
ラックとドローンを組み合わせた配送計画の最適化の基盤となる数理モデルとその考え方については構築できているので、今後はそれの活用と拡張を行う。ドローンとトラックのハイブリッドのやり方に関して、ドローンのさまざまな利用形態を考慮に入れて、それぞれについて有効性や適応性を評価する。ヒューリスティクスと最適化手法の融合により、従来モデルからの解の質向上を目指すとともに、さまざまな利用形態に柔軟に対応できるようにしたアルゴリズム開発を行う。 ドローン活用の有効性に関する定量的分析では、開発した最適化モデルによって配送計画を導き出して、ドローンを利用したときの効果の算定を行う。省エネ、省人化、コスト削減など効果を明らかにし、ドローンの有効な利用形態を示す。また、積載可能量、配送時間、配送距離などのドローンの持つさまざまな特性が、ドローンの導入効果に及ぼす影響を定量的に分析し、ドローン活用の有効性について検証する。 さらに、多様な補助配送手段に対応できる柔軟性の確保するため、ドローンの他に電気自動車や自転車などの補助配送手段を利用するときも含めて、ハイブリッド配送の評価を行う。 以上の研究計画は研究代表者が単独で実施するものであるが、大学院生の協力を得てアルゴリズムの実装や性能評価の実験を行う。また、企業の実務担当者や他大学の研究者からの知見や協力も取り入れながら実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で、情報収集や成果発表のための旅費の使用が全くなかったため、次年度使用額が発生している。状況を見てフィールドワークを実施したりオンライン会議に出席したりすることを計画している。
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