配送量の増加や配達員の不足、さらには地方における配送システムのあり方などが問題となっている中で、本研究課題では、ドローンなどの補助配送を活用したトラック配送を検討した。山間地などでは、広範囲にわたる配送地域を効率よくカバーするために、さまざまな輸送形態を上手に組み合わせた方策を取り入れることは、地域の持続可能性を維持するためにも重要である。ドローンを補助的に活用したトラックとのハイブリッド配達にはいくつかの方法があり、それらを定量的に比較検討した。 トラックからドローンを出発させて別の地点でドローンを回収する方式のFS-TSPモデル、デポからドローンを出発させてデポで回収する方式のPDS-TSPモデルに加え、最終年度ではトラックからドローンを出発させてデポで回収する方式のRD-TSPモデルを考察した。 FS-TSPモデルは、従来のヒューリスティックに基づくアルゴリズムでは良質な解が得られにくいために、配送方法の比較が十分にできていなかった。そこで、数理計画法に基づい た解法を開発し、より精度の高い解を与えることができた。配達時間が最短となるようなドローンとトラックの配達ルートを決定する問題をヒューリスティクスと数理計画問題を組み合わせることで効率的に解いている。 PDS-TSPモデルは、数理モデルの複雑さも少なく求解にかかる時間は大幅に短縮されるものの、ドローンはデポの周辺に限られるという制約がある。また、新たに検討したRD-TSPモデルは、FS-TSPとPDS-TSPを融合させたモデルとなっており、計算時間および配送計画の有効性などの観点からも優れたものとなっている。 また、旅客と荷物を混載したバスとトラックのハイブリッド輸送に関する数理モデルを考察し、ドローン配送との組み合わせにつなげるための検討を行った。
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