単繊維は、多くの刑事犯罪を解明するための重要な証拠試料である。従来法では異同識別できないケースが多く、単繊維の新しい鑑定方法が求められている。そこで本研究では、染料と触媒に由来する元素情報と化学構造に着目した単繊維の非破壊異同識別法の開発を行った。分析手法には、放射光を用いた蛍光X線分析(XRF)とX線吸収微細構造分析(XAFS)を組み合わせて用いた。その結果、染料と触媒に由来する元素情報と化学構造を指標とすると絹とポリエステルの単繊維を高精度に異同識別できることがわかった。本法は、社会の安全に資する単繊維の新規非破壊異同識別法として活用できる可能性が示された。
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