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2021 年度 実施状況報告書

住宅流通システムの活性化に向けた規制政策:利益相反の理論的・実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K04986
研究機関麗澤大学

研究代表者

大越 利之  麗澤大学, 経済学部, 准教授 (40458633)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード既存住宅市場 / 受取許容額 / プロスペクト理論 / 保有効果
研究実績の概要

本研究は、日本の既存住宅流通市場の活性化を阻害する要因の一つに、仲介取引や仲介業者に対する売主や買主の不安感や信頼性の問題があるのではないかという仮説のもと、取引の活性化に資する仲介取引手法を検討することを目的としている。
2021年度は、前年度に実施した「既存住宅の仲介取引に関する売主・買主アンケート」から得られたデータを用い、日本の既存住宅の取引慣行と売主の仲介取引に関する満足度の関係を主に検討した。分析の結果、(1)取引期間が長いほど売主の満足度は低い、(2)値下げ率が高いほど売主の満足度は低い、(3)値下げ回数が多いほど売主の満足度は低い、という傾向が明らかになった。また、外形的な売却期間の長短や値下げ率の高低と満足度の相関関係だけでなく、「実際の取引期間と想定した期間の相違」および「実際の売却額と受取許容額の相違」が満足度に影響することを明らかにした。
売却金額が受取許容額を下回ったという回答者はその逆の約1.6倍あり、彼らの取引全般に対して「不満」という回答割合も有意に高いことから、保有効果により所有する住宅を客観的な価値より高く評価していること、またそれによりプロスペクト理論における参照点が高く設定されている可能性を指摘した。また、実際の売却価格が受取許容額を上回った場合でも、値下げ率が高い場合には不満を感じる傾向があることが明らかになった。この要因として、日本の既存住宅の取引慣行である「値下げを前提とした売出価格の設定」が取引期間中に売主の参照点を受取許容額から上振れさせていること(参照点が不安定であること)を指摘した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

オンライン授業と対面授業を並行で行うための対応のため、当初の研究スケジュールからやや遅れている。なお、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、研究調査や研究発表のための旅費に関する予算執行は大幅に滞っている。

今後の研究の推進方策

2022年度は、2020年度に実施したアンケート調査から得られたデータを用い、仲介手法の差異(両手仲介・片手仲介)が住宅流通市場の取引結果(期間・価格等)に及ぼす影響を定量的に分析する。
また、既存住宅流通市場の活性化に資する仲介人の在り方および仲介取引に関する制度設計について、サーチ理論等に基づき考察する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルス感染症の拡大により、研究調査および研究報告に関する出張がキャンセルとなった。
2022年度についても旅費に関して当初の計画通りの予算執行とはならない可能性が高いが、状況をみながら研究出張に充足する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 住宅取引における値下げプロセスと売主の満足度の関係 ―WEB アンケート調査による検証―2021

    • 著者名/発表者名
      大越利之
    • 雑誌名

      土地総合研究

      巻: 29(4) ページ: 116-149

    • オープンアクセス

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公開日: 2022-12-28  

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