研究課題/領域番号 |
20K04992
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
水谷 聡志 愛知工業大学, 経営学部, 教授 (40469060)
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研究分担者 |
中川 覃夫 愛知工業大学, 経営学部, 研究員 (60076544)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 信頼性 / 保全性 / 取替問題 / ランダム取替 / 逐次点検 / 保全費用 / 最適化 / 確率モデル |
研究実績の概要 |
社会インフラなどのシステムに対する確率モデルをいくつか構築し,比較検討することができた.とくに,故障時の損害費用と保全取替費用との両面を考慮し,また取替後を含めて長期的に利用する場合について確率モデルを構築した.具体的には,ランダム取替,最早取替,最遅取替,などの取替方策をランダム K-out-ouf-n システムを応用した多くのシステムに対して統一的に扱うための枠組みを構築し,多くの数値例を挙げて評価した. 本研究は,多くの現実のシステムへ取替方策を応用することを容易にするものである.また,"Replacement First and Last Policies with Random Times for Redundant Systems"という題で国際会議 RMES 2021 にて発表した.また,本成果は,"Reliability and Maintenance Modeling with Optimization: Advances and Applications"という題の書籍の1章としてアメリカの出版社である CRC プレスから出版される予定である. また,故障を早期に検出するため,適切な時刻に点検を実施する逐次点検モデルに対し,単位時間当りの期待費用を最小にする点検時刻を計算するアルゴリズムを提案することができた.本研究のアルゴリズムは,反復法を応用したものであり,多くの拡張モデルへの適用が期待される.また,国際会議 ISSAT 2021 にて発表し,"Optimal Inspection Policies to Minimize Expected Cost Rates"という題で国際的な論文誌である"International Journal of Reliability, Quality and Safety Engineering"に掲載予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,損傷などにより故障するシステムに対する計画的な保全取替方策の確率モデル構築と具体的な問題に対する指標を示すことが目的である.予定していた多重ユニットシステムに対してモデルを構築することできた.ただし,故障は累積した損傷量によるものでなく,単一の原因となる事象の発生で起こるとした.様々なシステムに対し,適用可能な枠組みを提案した.いくつかのシステムに対し,具体的に数値例を挙げ,比較検討することができた.また,適切な時刻に点検を実施する逐次点検モデルに対する計算アルゴリズムを提案することができたので,拡張モデルに適応していきたい.予定としていた国際会議の参加に関しては,コロナ禍により,開催国に出向いて直接参加することができなかった.そのため,Zoom などを用いてオンラインにて参加した.具体的には 26th ISSAT International Conference on Reliability and Quality in Design (ISSAT 2021, アメリカ), The Reliability and Maintenance Engineering Summit 2021 (RMES 2021, 中国)に参加した.とくにRMES 2021に関しては,RMES 202o-Chairs として関わった. 交通費はかからなかったが,参加費の支払いに科研費を使わせ頂いた.また,科研費により,"Handbook of Advanced Performability Engineering"(Ed. K.B. Misra),"Statistics of Extrems" (E.J. Gunbel) などの洋書などを購入し,今後の研究に非常に参考となった.予算は予定通りに使えなかったが,研究として一定の成果を達成することができた.
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今後の研究の推進方策 |
ランダムな時刻に保全取替を実施するランダム取替と年齢取替,定期取替の比較を行う.保全費用が等しい場合は,ランダム取替より他の取替方策の方がよいことが知られているため,ランダム取替の保全費用を下げて比較を行う.これに関する研究成果は,国際会議 27th ISSAT International Conference on Reliability and Quality in Design (ISSAT 2022, アメリカ)において発表する.また,適切な時刻に点検を実施する逐次点検モデルに対する計算アルゴリズムを拡張モデルに適応する.これは,The 10th Asia-Pacific International Symposium on Advanced Reliability and Maintenance (APARM 2022, 台湾)において発表する.また,国際的な研究論文誌である"International Journal of Reliability, Quality and Safety Engineering",また"Reliability Engineering & System Safety"に投稿を予定している.今年度もコロナ禍のため,直接国際会議の開催国に行くことは難しいが,積極的に国際会議に参加する予定である. また,Springer から新しい研究成果をまとめた多くの信頼性理論関係の書籍が出版予定であり,科研費を用いて購入させて頂く予定である. さらに,予め予定した回数かの作業完了後に取替を実施する取替方策に対し,途中に飛び込みの重要作業が入る可能性がある場合について,あらたに確率モデルの構築を予定している.研究成果は,できれば今年度中に国際会議にて発表したい.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため国際会議に参加することができなかったため,予定した旅費が全く発生しなかった.2021年度は,アメリカで開催された 26th ISSAT International Conference Reliability and Quality in Design (ISSAT 2021)と中国で開催された The Reliability and Maintenance Engineering Summit 2021 (RMES 2021) に参加した.旅費は発生しなかったが,参加費 28,155 円を科研費の直接経費「その他」にて支払った.また,学術洋書など 129,032 円を科研費の直接経費「物品費」にて購入した.間接経費は 300,000 円であった.結果として,当該年度の実支出額(A)は 457,187 円となり,当該年度の所要額(B)2,292,690 円との差は 1,835,503 円となった.
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