研究課題/領域番号 |
20K04993
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
片岡 隆之 近畿大学, 工学部, 教授 (40411649)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 混成生産システム / 再編成可能 / 機械学習 / 人間とロボット |
研究実績の概要 |
令和4年度に実施した研究の成果については,研究計画調書に記載した「研究計画」のとおり,以下の点について研究を進めることができた.ただし昨年度に続き,本年度も,新型コロナの影響により,海外でのフィールド調査が実施不可能となったことから,本研究対象であるベイズ学習を含む機械学習機能を応用した再編成可能型混成生産管理方式の確立と国内ロボット関連企業におけるニーズ把握に注力した. (1)人間とロボットの共創作業に内在する共創パラメータの確立とその抽出法 新型コロナの影響により,これまで延期していた日独間比較のための国際学会への現地参加とフィールド調査は引き続き実施できなかったことから,ベイズ学習を含む機械学習機能による確率変動に向けた人間とロボットの共創作業に内在する各パラメータの設定/分類及びその抽出法のシミュレーション実験及びヒアリング調査に注力した.その結果,パラメータの一つである生産効率の変動に対する投入ロボット数の上限値を明らかにすることができた.また一般財団法人製造科学技術センターの学術会員として「自律的生産スケジューリング研究会」に参画し,将来的にロボットの関与も想定される自律的生産における国内ロボット関連企業のニーズ把握に努めた. (2)ベイズ学習を含む機械学習機能を応用した再編成可能型混成生産管理方式の確立 昨年度に開発したRNNとCRNNの融合による新たなゲート付きハイブリッドネットワークに加え,本年度はまずXGBoostとLSTMのモデル単体でシミュレーション実験を実施するとともに,さらにアンサンブル学習におけるスタッキング法と平均法を適用することにより,これまでの結果とのベンチマークを試みた.その結果,複数のベンチマークデータによる予測実験において,従来手法より優れた結果が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度も新型コロナの影響により,10月に予定していた日独間比較のための国際学会(18th Global Conference on Sustainable Manufacturing, October 5-7, 2022, Berlin, Germany)の現地参加とフィールド調査が実施不可能となったことから,ベイズ学習を含む機械学習機能による確率変動に向けた人間とロボットの共創作業に内在する各パラメータの設定/分類及びその抽出法のシミュレーション実験及びヒアリング調査に注力することにより,フィールド調査の延期に伴う研究の遅れをできるだけカバーした. 一方で,各共創パラメータを対話型生産システムにビルトインすることにより,ベイズ学習を含む機械学習機能による再編成可能型混成計画のための新たな検知・調整方式を確立するための研究を先行実施した.具体的には,時系列データに有効な機械学習アプローチであるXGBoostとLSTMのモデル単体でシミュレーション実験を実施するとともに,さらにアンサンブル学習におけるスタッキング法と平均法を適用することにより,これまでの結果とのベンチマークを試みた結果,複数のベンチマークデータによる予測実験において,従来手法より優れた結果が得られた.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に続き,令和4年度もやや遅れながらも次年度に繋がる研究成果が出ているため,令和5年度は新型コロナの影響がないことを前提として,以下の内容について研究を進めていく. (1)人間とロボットの共創作業に内在する共創パラメータの確立とその抽出法 新型コロナの影響がないことを前提として,これまで延期していた日独間比較のための国際学会へのエントリーと採択が決定しており,これから現地参加とフィールド調査の準備を進めていく予定である.また,引き続き,ベイズ学習を含む機械学習機能による確率変動に向けた人間とロボットの共創作業に内在する各パラメータの設定/分類及びその抽出法のさらなるシミュレーション実験を継続する一方で,日本国内の協力予定企業へのフィールド調査も実施する予定である. (2)ベイズ学習を含む機械学習機能を応用した再編成可能型混成生産管理方式の確立 各共創パラメータを対話型生産システムにビルトインすることにより,ベイズ学習を含む機械学習機能による再編成可能型混成計画のための新たな検知・調整方式を確立するため,本年度は,特に令和3年度に新たに開発したゲート付きハイブリッドネットワークの適用可能性に加え,アンサンブル学習におけるスタッキング法と平均法の適用可能性について検討する.具体的には,昨年度に続き,国内自動車メーカーと協力し,実証用データに基づく現場への適用可能性にまで範囲を広げて研究を推進する.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 新型コロナの影響に伴い,予定していた海外における現地研究調査出張を実施できなかったが,一方でオンライン会議を用いた打ち合わせの機会を効果的に取り入れることにより,旅費項目の効果的な運用を実行することができたため.また数値実験におけるデータ整理の多くを自ら実施したことにより,人件費・謝金項目を減少させつつ成果を出すことができたため. (使用計画) 令和5年度に現地開催予定の本研究分野における最大規模の学会(The 27th International Conference on Production Research)に採択が決定している.これに加えて,同等規模の複数の学会 (The 19th Global Conference on Sustainable Manufacturing および The 23rd Asia Pacific Industrial Engineering and Management Systems) にも新たにエントリーし,成果発表の機会を増やすことにより,研究成果レベルのさらなる向上を図りたい.また令和5年度は,これまでに購入した高性能PCを用いて,構築されたモデルに基づく多くのデータ解析・整理業務が発生することが予想されることから,バイアウト経費も含めて,人件費・謝金を最大限に用いて,効率的な研究の取りまとめを実行していきたい.
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備考 |
近大コメンテーターガイド https://www.kindai.ac.jp/meikan/
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