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2022 年度 実施状況報告書

微細証拠物としての繊維試料を対象とした顕微スペクトル測定装置の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K04996
研究機関科学警察研究所

研究代表者

渡邉 大助  科学警察研究所, 法科学第三部, 主任研究官 (80462753)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード顕微分光 / 繊維分析
研究実績の概要

研究3年目の本年度は、昨年までの応用範囲をさらに広げ、研究初年度に試作した装置を用い、犯罪鑑識用の繊維標本に収録されている様々な素材、様々な色の単繊維に対して、本手法の有用性を評価した。本装置はユニットとしての独立性が特徴であり、既存の顕微鏡の種類を選ぶことなく、従来の光学顕微鏡に取り付けることで顕微吸光スペクトルの測定が可能となり、偏光顕微鏡に取り付けることで顕微偏光スペクトルの測定が可能となることが昨年度までの研究で明らかとなっている。
さらに本年度はこれを市販の蛍光顕微鏡に取り付けることで、顕微蛍光スペクトルの測定を試みた。本装置を用いて様々な種類の単繊維について、380nm励起、470nm励起、540nm励起のそれぞれで蛍光スペクトルを測定したところ、いずれも感度、再現性ともに良好な結果が得られ、市販のスペクトル測定機能付き蛍光顕微鏡で測定したスペクトルと本質的に同等の結果が得られることが確認された。蛍光はいずれの繊維も類似した色調になることが多く、目視での識別が困難であるが、本装置を用いてスペクトルを測定することで、目視での判別が困難な繊維についても精密な客観的識別が可能となった。海外の法科学的繊維分析のガイドラインでは、紫外可視吸光に加えて偏光観察、蛍光観察が識別に有用であるとして推奨されているが、本年度の研究成果により、このガイドラインに準拠したスペクトル測定が可能となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の当初の目的は、スペクトル測定機能を持たない通常の光学顕微鏡、偏光顕微鏡、蛍光顕微鏡に対して、本研究で製作したユニットを取り付けることで、様々な種類の単繊維に対して顕微吸光スペクトル、顕微偏光スペクトル、顕微蛍光スペクトルの測定を可能とすることにあり、その目的は概ね達成されたと言える。

今後の研究の推進方策

上記の通り、本研究の当初の目的は概ね達成されたが、一方で新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、学会発表、特に国際学会での成果発表が未だなされていない。そこで研究期間を1年延長し、成果発表の場を広く求める予定である。研究内容自体についても、当初の対象であった単繊維については、本研究の有用性が確認されたので、樹脂や塗膜等の、その他の犯罪鑑識において重要な微細試料に対しても、本手法の応用可能性を検証する予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの影響により、予定していた学会の多くが中止またはオンライン開催となり、旅費の使用額が当初の予定を大きく下回ったためである。このため研究期間を1年間延長して研究成果発表の場を求めることとしたが、社会状況を考慮しつつ可能であれば学会、特に国際学会への参加を検討し、それが依然として不可能な状況であれば、やむを得ずその他の用途に振り返る予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)

  • [学会発表] A novel refractometry of single fibers for forensic discrimination using dispersion staining2023

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Watanabe
    • 学会等名
      Asian spectroscopy conference
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 法科学における分光分析2023

    • 著者名/発表者名
      渡邉大助
    • 学会等名
      繊維鑑定における標準的分析法等に関する研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 法科学における分光分析2022

    • 著者名/発表者名
      渡邉大助
    • 学会等名
      ブルカージャパン赤外ラマン技術セミナー
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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