研究課題/領域番号 |
20K04996
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
渡邉 大助 科学警察研究所, 法科学第三部, 主任研究官 (80462753)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 顕微分光 / 繊維分析 |
研究実績の概要 |
研究3年目までに、様々な顕微鏡の接眼レンズ取り付け部に設置できる小型の分光測定システムを製作し、これを既存の光学顕微鏡、偏光顕微鏡、蛍光顕微鏡に取り付けることで、単繊維試料の可視吸収スペクトル、偏光吸収スペクトル、蛍光スペクトルを測定することに成功した。これにより、現状の国内外の法科学的繊維分析のガイドラインに準拠した顕微分光分析を行うことが可能となった。1年延長した本年度は、繊維以外の試料に対象を拡大し、交通事故捜査等で重要となる塗膜試料への応用を試みた。製作した分光測定システムを通常の光学顕微鏡に取り付け、様々な色の塗膜試料の分析を行ったところ、良好な吸収スペクトルが測定され、これは市販の顕微分光装置で測定した結果と本質的に同等であった。これにより、本研究のシステムは、当初の研究対象である繊維に限らず、塗膜を初めとした様々な微細試料の光学分析に応用可能であることが示された。本研究の今年度までの成果は、国際学会であるアジア分光会議で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は当初3年計画であったが、コロナ禍の影響で発表予定であった学会の中止が相次ぎ、特に国際学会での成果発表ができないままであったため、1年の延長をしたが、今年度は国際学会であるアジア分光会議で、本研究課題の成果を発表することができた。上記の研究成果と合わせて、これにより本研究の当初の目的は概ね達成できたものと言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の当初の目的は概ね達成したが、さらに1年の延長をしたため、繊維や塗膜といった様々な微細試料への応用の幅を広げると共に、成果発表の場も積極的に求めていく。また、令和6年度から、本研究内容と関連する新たな科研費課題(基盤C:24K07939)が採択されたため、こちらの課題とも連携して進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で、当初予定していた旅費の執行が大幅に滞ったため1年の延長をしたが、今年度は国際学会での成果発表も可能となった。しかし、未だ当初の予定通りの旅費執行は達成されていないため、さらに1年の延長をし、可能であれば国際学会への参加、あるいは必要な物品購入により、適正な使用を進める予定である。
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