研究課題/領域番号 |
20K04998
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鄭 好 北海道大学, 工学研究院, 助教 (40775384)
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研究分担者 |
蟹江 俊仁 北海道大学, 工学研究院, 教授 (10332470)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | そろばん道路 / 人工雪 / 接地圧 / 振動子回転 / 再現実験 / 数値解析モデル |
研究実績の概要 |
令和2年度は、主に研究計画に従い、室内再現実験と理論モデルの二つの角度からそろばん道路の生成機構について実験・研究を行った。理論研究の面では、実験や実地観測で確認した現象や実際の環境条件をもとに、複数の室内実験を通じて数理モデルの確立に必要な基礎データを収集し、周期性凹凸に関する数値解析モデルを作成してみた。特に、振動子回転の差異相違点、及び路面の表層材料(人工雪や砂等)の影響などについて実験を繰り返し、そのデータを分析するとともに、数理モデルに適用した数値的シミュレーションも実行している。 室内再現実験の部分では、路面不陸生成装置を用い、舗装路面の材質及び振動子回転の影響について研究を行った。また、実験の路面材料の一種として、含水率が異なってくる人工雪も使用した。人工雪に含まれている水分量及び実験室の温度を変化させながら、それらの要素が路面周期性凹凸の生成に与える影響、及び各路面材料での周期性凹凸の形成メカニズムを検討した。 一方、実験計画に従って、数値解析モデルでは、有限差分法で1質点1自由度系のモデルを構築することによって、振動子の接地圧による路面変位を再現してみた。その結果、実際路面の周期性凹凸の変化と車輌の接地圧との間に極めて緊密な相関性があり、数値解析モデルで路面周期性凹凸の発生予測を試験的に行うことも可能になった。 なお、上記の研究成果の発表に関して、令和2年度はコロナ対策として、全ての学会発表をキャンセルしたが、英文ジャーナルへの論文投稿は計画通りに行い、現在執筆しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のように、理論研究と実験研究は共に、当初の研究計画通りに実施し、概ね期待される成果が得られたと考える。ただし、理論研究では、多様なモデル・パターンが考えられるため、更なる検討が必要であり、来年度はその課題に引き続き、多角度・多面な検証を追加する予定である。また、実験研究の部分では、人工雪の素材を用いた実験を複数実施してきたが、温度や含水量といったパラメータが多いため、実験研究を積み重ね、更なる詳細なデータを収集する予定である。現地観測の部分では、自然条件とコロナ感染拡大の影響により、研究予定したほどには観測できなかった。しかし、これまでの研究結果・発見に基づき、路面周期性凹凸のサイズ、及び路面温度の記録・観測といった新しい試みも実施ており、路面周期性凹凸の形成要素を更に検証・探求する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
室内実験の部分では、人工雪を使用した走行試験を積み重ね、人工雪の含水量(水と高吸水性ポリマーの比率)の変化や実験時の気温などを、低温恒温室内で変化させながら、実験を体系的に進めていく予定である。また、振動子(車輌)の接地圧によって、人工雪の圧縮変位を検討する。振動子表面の素材の摩擦特性、及びそれによる周期性凹凸生成への影響を検証する予定である。
現地観測については、効率的かつ効果的な観測・記録が実現できる場所を探しながら、現地において生成されてきた凹凸サイズやその分布、路面の温度などの計測に取り組んで現地データを収集する予定である。
理論研究の面では、数値シミュレーションモデルの有効性を確保するために、多様な条件に基づく複数のモデルを提案し、その適用性を多角度から検証し、数値計算モデルを更に発展させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響によって、本研究に関する国際会議と国内の学会がキャンセルされた。研究分担者への研究分担金であり、当該研究者の都合により未使用となった。 今年度の研究打合せのための旅費等に使用予定である。
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