研究課題/領域番号 |
20K05005
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
林 久資 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教 (30633614)
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研究分担者 |
進士 正人 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (40335766)
吉川 直孝 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所, 建設安全研究グループ, 上席研究員 (60575140)
岡崎 泰幸 松江工業高等専門学校, 環境・建設工学科, 助教 (50806081)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | トンネル施工 / 山岳トンネル / 肌落ち / 安全工学 / 労働安全 / LiDAR |
研究実績の概要 |
肌落ちが発生する要因としては,岩盤の凹凸(特にオーバーハングしている岩塊),不連続面による浮き等が挙げられる. 今年度は,切羽面の岩盤の凹凸と不連続面に着目し,切羽面の三次元形状データを取得し,取得した三次元点群データからオーバーハングの程度や切羽前方の不連続面を推定することを目標に研究を遂行した.特に,不連続面の予測に関しては,その切羽から次のサイクルの切羽面の評価を行うために,時間に余裕が生じるが,オーバーハングの程度の推定に関しては,その切羽面の評価を行うためリアルタイム性が求められる. 切羽面の三次元データをリアルタイムに取得する手法の検討として自動車の自動運転におけるセンシング技術として採用されているLiDAR(Light Detection And Ranging)センサによる方法に着目し,カメラによる写真測量技術を用いて点群データを構築する方法と比較した.研究協力者が所属する企業が施工しているトンネル現場において切羽面およびトンネル壁面の三次元点群データを取得し,両手法における点群データの重ね合わせを行い,両手法の最も近くにある点同士の距離を比較した.その結果,93%の点が5cm以内の差に,約67%の点が2cm以内の差に,約35%の点が1cm以内の差に収まっていることがわかった.以上から,LiDARセンサと写真測量の両手法において数cmの誤差で,ほぼ同じ形状計測結果が得られることがわかった. さらに切羽前方における不連続面の状態の推定を行った.ここではカメラによる写真測量技術を用いて点群データを構築する方法によって取得した切羽面の点群データから面のデータに変換するメッシュ構築を行い,構築した面から走向・傾斜の評価,切羽前方における不連続面を推定した.これにより,不連続面の定量化(面を表す式の算出)が可能となり,切羽前方における不連続面の状態を推定することが可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の研究では,3Dセンサ(iToF方式:indirect Time of Flight)を用いた切羽のオーバーハング程度評価のための室内基礎実験およびトンネル現場測定を行ったが,三次元形状をリアルタイムに取得出来ることが分かった一方で,トンネル現場に適用する際にいくつかの問題が生じた.そこで本年度はLiDAR(Light Detection And Ranging)センサによる切羽のオーバーハング程度取得のための室内基礎実験を山口大学で,トンネル建設現場における計測を研究協力者が所属する企業が施工を実施しているトンネル現場において実施した.その結果,トンネル建設現場においても切羽のオーバーハング程度を取得することが可能となった.以上により,本研究課題の目標である肌落ち災害抑制技術を開発するために順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
LiDAR(Light Detection And Ranging)センサにより切羽形状をリアルタイムで取得することができたため,今後は肌落ち抑制対策工の出来高管理を本手法で行う予定である. また,トンネル切羽面の凹凸に起因する肌落ちのリスクを評価するための数値解析法の提案も行う予定である.さらに,肌落ち発生予防のために用いられる対策の一つである鏡吹付けコンクリートを考慮した数値解析を実施する.これにより,切羽の凹凸に起因する肌落ちリスクの評価や,対策工の有無による肌落ち低減効果の評価を行うことが出来る.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者および研究分担者においては,新型コロナウイルスによる移動制限によって中止となった出張があったため,次年度使用額が発生した.次年度においては,これらの出張を遂行する予定である.
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