市販されていたMRブレーキは種類が少なく大型であり,また生産が中止されたため,独自にMRブレーキを設計し,各実験装置に適したMRブレーキの作製を行っている.これまで学生に任せていた設計を自分で見直し,小型軽量化を向上させ,組み立て中にMR流体が漏れないよう内側のカーラーでもネジを締めるようにし,そのネジを締めると全体が密着する構造にする.強磁性体と非磁性体を効率よく配置することで,MR流体に磁束密度を集中させる.非磁性体の部品作製に3Dプリンタを使用し複雑な形状の部品を作製する. そのMRブレーキを使用し,軸を持ち上げ方向に回転させ,本体にアームと錘を取り付けることで,電圧を上げるとアームが持ち上げ方向に回転し,電圧を下げると重力により下げられる実験装置を作成し,連続位置決めと正弦波軌道追従制御の実験を行う.また,2軸に拡張させ円軌道追従と直線軌道追従を行う. またMRブレーキ2つを作製して組み合わせ,軸に2つの異なる回転をそれぞれに与え,各ブレーキの印加電圧を制御することにより,水平方向の回転を制御する拮抗揺動型MRアクチュエータを作製し,制御実験を行った.さらにこのシステムを2リンクに拡張させ,円軌道追従制御を行う. 揺動型空気圧アクチュエータに作製したMRブレーキを取り付け,2軸に拡張させブレーキ制御による円軌道追従と直線軌道追従制御を行う. その他,MRブレーキと空気圧ゴム人工筋を使用し,1対(2本)の人工筋で2軸の制御が可能な装置においては,人工筋の強力な張力に耐えられる高い制動力を持つMRブレーキを作製する.通常,1軸に対してそれぞれ1対以上の人工筋が必要なため,2軸を駆動させるためには2対(4本)の人工筋が必要であるが,2つMRブレーキによって駆動させる軸を切り替えることによって1対の人工筋で2軸を駆動させる.ブレーキを掛けていない状態でのトルクが大きいため,現在新たなMRブレーキを設計する.
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