研究課題/領域番号 |
20K05022
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
研究代表者 |
津田 和城 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 主幹研究員 (40359435)
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研究分担者 |
細山 亮 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 主任研究員 (10530074)
堀口 翔伍 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 研究員 (20736300)
渡部 大輔 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (30435771)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 振動試験 / 輸送振動 / 特徴量 / GPS / AI / 予測 / PSD / 実効値 |
研究実績の概要 |
輸送環境を反映した高精度な振動試験を実現するために、輸送条件ごとに変化する輸送振動の特徴量を把握することが重要になる。そのために、計測道路の特徴量を算出する「正確かつ簡単な特徴量の算出手法」、および、未計測道路の特徴量を予測する「AIと一般指標を用いた特徴量の予測手法」の考案を目標としている。2年目である令和3年度では、輸送振動の特徴量であるPSDを正確かつ簡単に把握するために、「PSD以外の指標を用いた振動の評価方法」および「簡易記録計を用いたPSDの計測方法」について検討した。 「PSD以外の指標を用いた振動の評価方法」では、ピークの振幅と回数から疲労を求めて振動を評価するとともに、疲労に及ぼす周波数の影響についても検討した。その結果、PSDをひとつに統合する際、加速係数の考慮により、統合前後の疲労が一致するという先行研究と同様の結果が得られた。さらに、疲労には周波数間で独立なものと周波数間で相互作用するものがあり、すべての疲労を周波数ごとに分解できないことがわかった。このように、この方法は疲労等価なPSDの算出や周波数の影響調査に利用できるため、正確なPSDの算出につながると考えられる。 一方で、「簡易記録計を用いたPSDの計測方法」では、道路の種類が変わってもPSD形状には類似性があるという前年度の結果を利用している。短時間の連続計測と長時間の間欠計測を組み合わせて、輸送全体のPSDを計測する手法を考案し、特許出願を行った。この手法により、輸送全体を連続計測することなく、輸送全体のPSDを計測することが可能になる。また、これまで使用していた高価な輸送環境記録計が不要になるため、この方法は安価で簡単なPSDの計測につながると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画とは一部異なるものの、輸送振動の特徴量であるPSDを正確かつ簡単に把握するために主に次の2つに取り組んだ。正確なPSDを算出するために、「PSD以外の指標を用いた振動の評価方法」を検討し、加速係数の考慮が必要である結果が得られた。さらに、安価で簡単にPSDを計測するために、短時間の連続計測と長時間の間欠計測を組み合わせた「簡易記録計を用いたPSDの計測方法」を考案できた。これらの理由から、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、疲労は振動のピークに基づいて算出されるため、ピークを構成する周波数の組み合わせを検討し、ピークの振幅と周波数の組み合わせの関係を調査する予定である。また、輸送振動の特徴量である実効値に対する車両と道路の影響を分離することにより、実効値の予測精度を改善する予定である。 学協会での成果発表や論文投稿を行い、議論や意見交換を通して問題点の抽出や解決策の検討を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入品の変更により計画額と使用額に差額が生じたが、これらの差額は次年度の学協会での成果発表や実験用具の購入などの費用に使用する予定である。
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