研究課題
最終年度R4年度は,蔵王火山,阿蘇火山,栗駒火山の火山噴出物および熱水変質帯の調査分析を行うとともに,これに鳥海山を加えた研究成果をとりまとめ,成果を公表した。一部は公表準備中である。火山灰成分分析を中心に進めてきた鳥海山については,前年度まで噴火前駆現象から水蒸気噴火の開始とその後の推移について検討を行い,一定の知見を得た。鳥海山では,噴火開始前にマグマ上昇時にマグマ由来の流体と地下水が反応し,噴気などの地表現象が現れ,やがて水蒸気噴火が発生して熱水系由来の噴出物が放出される。そのまま収束する場合もあるが,マグマ放出量が増大し,溶岩流を伴うマグマ噴火にいたることがある。この成果をR4年度に成果を査読付き論文として発表した。阿蘇火山については2021年噴火火山灰の硫黄同位体組成変化を基に,この噴火に至る地下の火山性流体-マグマ相互作用について検討を行った。10月14日噴火では熱水系由来の硫黄のみ認められるのに対し,1週間後の噴火ではマグマに直接由来する流体の影響が強く認められている。この成果については日本火山学会にて講演を行っている。蔵王火山については主に明治噴火の噴出物の成分分析,鉱物化学組成分析,硫黄同位体組成分析に加えて変質帯との鉱物・同位体的比較を行った。ここでも噴火前から噴火中の火山性流体-マグマ相互作用について一定の知見が得られている。噴出物が含有する硫黄鉱物には,既存熱水系由来の鉱物(ミョウバン石など)もあるが,マグマに直接由来する流体の影響を示す硫黄を含む鉱物(石膏・硬石膏)が含まれる。この成果を論文としてとりまとめ,R5年5月時点において国際学術志へ投稿中である。栗駒火山についてはマグマの関与を示す結果が得られていないが,火山灰成分分析により火山熱水系の構造を詳細に再現できた。この成果発表は現在準備中である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
火山
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Journal of Volcanology and Geothermal Research
巻: 433 ページ: 107723~107723
10.1016/j.jvolgeores.2022.107723
巻: 437 ページ: 107793~107793
10.1016/j.jvolgeores.2023.107793
Journal of Disaster Research
巻: 17 ページ: 724~735
10.20965/jdr.2022.p0724