本研究の問題意識は,突風予測に活用されるストームに相対的なヘリシティーの算出に必要となる積乱雲の移動速度について,これまで米国の推定方法が広く使われてきたが, 気候環境が異なるアジア域にその方法をそのまま適用してよいのかということである。バングラデシュの事例では積乱雲の移動速度を約50%も過小評価していることがわかった。さらに多くの事例を検証することが今後の課題ではあるが,米国の手法をそのまま適用するのではなく,地域ごとに移動速度の実態を把握し,それに基づいた移動速度の推定方法を開発し運用することで竜巻等の突風予測の精度向上が期待されること示唆した点に本研究の学術的及び社会的意義がある。
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