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2023 年度 実施状況報告書

気候変動を考慮した内水氾濫リスクと適応策の評価

研究課題

研究課題/領域番号 20K05034
研究機関関西大学

研究代表者

尾崎 平  関西大学, 環境都市工学部, 教授 (40351499)

研究分担者 石垣 泰輔  関西大学, 先端科学技術推進機構, 研究員 (70144392)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード気候変動 / 内水氾濫 / 大規模アンサンブル予測データ / 適応策 / 地下空間
研究実績の概要

近年,気候変動による降雨の激甚化やそれによってもたらされる都市浸水が問題になっている.これに対して気候変動を踏まえた都市浸水対策が求められている.
今年度は,第一に2℃上昇,4度上昇による内水氾濫解析を実施し,将来気候における内水氾濫の影響について考察を行った.その結果,10年確率雨量の影響は,温暖化が進んでも小さいが,100年確率雨量の影響は,車のスタックによる交通障害などの影響が懸念され,その範囲は4℃昇温時の方が明らかに広いことを確認した.本結果から,降雨規模の変化倍率よりも,内水氾濫の発生による最大湛水量の変化倍率の方が大きく,かつ4℃昇温時の大きさは極めて大きいことから,内水氾濫対策の観点からも緩和策の推進による2℃目標の達成が強く求められることを示した.
第二に,これまでの内水氾濫解析では,氾濫水が道路面だけを流れるモデルとして取り扱いを行ってきた.これは内水氾濫では,それほど浸水深が高くならないため,街区内への水の流入はほとんどないと仮定していたためである.しかしながら,この方法では被害額の算定に必要な街区内の建物の浸水面積や浸水高の定量が困難である.そのため,今年度は,道路面,街区内ともに浸水するモデルへと改良を行った.
第三に,適応策としてのグリーンインフラの効果として,屋上緑化の適地を推定する手法の提案と,その導入による浸水軽減効果の定量化を行った.その結果,対象地域において,屋上緑化,バイオスウェルの導入可能量は,それぞれ排水区面積の約1%,0.1%程度であった. 総降雨量86.3mm,時間最大雨量52.3mm/hr,継続時間3時間の中央集中型の降雨による氾濫解析の結果,導入による効果は,湛水量を指標とした場合2.5%程度の軽減に留まった.解析結果より,集水面積に対する導入面積の量が重要であることを指摘した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初計画に予定している適応策の軽減効果と費用対効果の定量に向け,やや遅れているものの,現時点で,概ね解析の準備は整っており,問題なく遂行可能である.

今後の研究の推進方策

将来シナリオの2℃上昇と4℃上昇の違いによる内水氾濫の影響評価は終了しており,現在,被害額を算定するためのモデルの改良が終了し,今後,被害額の算定ならびに、適応策の実施による軽減効果の推定を行う.

次年度使用額が生じた理由

適応策の評価と被害額の算定を行い,その成果発表を行う必要があるため,次年度使用額が生じた.次年度,研究成果の発表を行い,その著者負担金ならびに成果発表のための旅費に用いる予定である.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Estimation of possible locations for green roofs and bioswales and analysis of the effect of their implementation on stormwater runoff control2024

    • 著者名/発表者名
      Kinoshita Tomohiro、Ozaki Taira
    • 雑誌名

      Frontiers in Climate

      巻: 6 ページ: -

    • DOI

      10.3389/fclim.2024.1287386

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 屋上緑化の多機能性に対する市民意識と雨水流出抑制効果の推定,水循環 貯留と浸透2023

    • 著者名/発表者名
      尾﨑平
    • 雑誌名

      水循環 貯留と浸透

      巻: 130 ページ: 7-11

  • [学会発表] 大規模アンサンブル予測データを用いた内水氾濫解析に基づく地下空間への流入量の比較2024

    • 著者名/発表者名
      菊地 香花, 尾﨑 平, 石垣 泰輔, 橋本 彰博, 戸田 圭一
    • 学会等名
      地下空間シンポジウム
  • [学会発表] アンサンブル気候予測データに基づく内水氾濫の将来影響2024

    • 著者名/発表者名
      尾﨑平
    • 学会等名
      気候変動問題の解決に向けた下水道の果たす役割
    • 招待講演
  • [学会発表] 大規模アンサンブルデータを用いた 内水氾濫解析による温暖化影響の評価2023

    • 著者名/発表者名
      尾﨑平, 池松莉沙, 石垣 泰輔, 橋本 彰博, 戸田 圭一
    • 学会等名
      第60回下水道研究発表会

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公開日: 2024-12-25  

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