高度経済成長期以降に膨大に敷設されたコンクリート構造物を主とする現在のインフラ設備は,老朽化や大型台風などの自然災害の増加によって,同時多発的に異常な外力に曝されており問題視されている.そのような被災構造物の深刻な損傷を災害直後に短時間で把握し,健全性を評価することは都市機能を維持するうえで急務な課題である.しかしながら,災害直後に構造物に累積した外力の程度を一挙に把握することは困難である.ここで求められているのは,受けた累積外力の程度を迅速かつ簡易的に測定し,構造物に加わるエネルギーと損傷の関係性を即時に評価することにある.このため,膨大な数のコンクリート構造物のレジリエンス強化に貢献するような評価方法を確立し,新たな防災技術を開発することが望まれている.この目的のため,本研究では引張・圧縮などの機械的外力を加えることで生じた応力集中により発光する性質を持つ応力発光体(Mechanoluminescence以降,MLと称す)を用いことで,構造物が受ける累積外力を簡易的かつ広範囲に測定し,構造物の損傷度を評価するための手法の開発を目指したものである.これによりインフラ設備の長寿命化やLCC(Life CycleCost)抑制に貢献ができると考える. 前年度までの課題として,①さらなる実験データの収集②LabVIEWを用いた解析ソフトを開発(以降,MLAnalyzerと称す)の操作簡易化とノイズ除去機能,最大輝度追跡機能追加などの性能向上を目指した.
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