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2020 年度 実施状況報告書

機械学習による火山ガス濃度予測システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K05040
研究機関神奈川県温泉地学研究所

研究代表者

十河 孝夫  神奈川県温泉地学研究所, 研究課, 研究員 (30817854)

研究分担者 松井 孝典  大阪大学, 工学研究科, 助教 (30423205)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード機械学習 / 火山ガス
研究実績の概要

最盛期には瞬間最大で2000人の観光客が立ち入っているといわれる箱根山大涌谷において、現在あるガス濃度測定網のデータに機械学習アルゴリズムを適用し、観光エリアにおける有害ガスリスクの短期(30分後)予測を目指す。
初年度は既に蓄積しているデータ(2016年1月~2018年8月)を用いて機械学習させ、2020年3月~7月の神山登山口測定局(9:00)における二酸化硫黄の濃度が閾値を超えるかどうかについて検討を行った。なお閾値(二酸化硫黄:0.1ppm)については園地内で注意喚起放送が流れる濃度の半値とした。最終的には11か所の測定局における二酸化硫黄、硫化水素(閾値:1ppm)の9:00、12:00、15:00、18:00の濃度予測を行う予定であるが、予測方法の確立までは閾値を超える場合が最も多い神山登山口測定局の9:00における二酸化硫黄の濃度予測を代表として機械学習アルゴリズムのプログラミングを行う予定である。
機械学習アルゴリズムについては軽量な確率勾配ブースティング(catboost)を用いて学習、予測を行った。最適な学習パラメータを求める上で、重みづけを含む9つのパラメータについてベイズ最適化を行い、パラメータのチューニングを行った。学習の上で未来のデータを学習して過去のデータを予測しないように注意した。
結果として、神山登山口測定局の9:00における二酸化硫黄の濃度予測については2020年3月~7月の147事例を未知のデータとして、80%の正確さを得た。計算に要した時間は1~2分であった。現状のデータベースでは火山活動を反映したデータに乏しく、より複雑な機械学習アルゴリズムを用いてもこれ以上の精度の上昇は難しいと考えられる。今後は火山活動を反映したデータの追加や予測と結果が一致しない場合の気象場の解析などを行うことでより精度の高いアルゴリズムを作成したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本課題研究の初年度目標は「軽量な機械学習を用いて蓄積データをもとに二酸化硫黄、硫化水素の基準超過を評価すること」であり、初年度の目標はほぼ達成したといえる。ランダムフォレストと確率勾配ブースティングによる予測精度に違いがなかったことから、機械学習側の能力については飽和しているとみなし、数値データを用いた学習、予測については深層学習のような重い機械学習を用いる予定はない。
一方で、本年度計画途中で噴気画像の1分間データを入手したため、こちらの解析において重い機械学習(深層学習)を用いる予定で準備を行っている。具体的には火山ガスの超過状況と噴気画像とを機械学習にかけることで、画像情報から火山ガス濃度の基準超過について予測を行うものである。本年度は画像の選定のみ行った。

今後の研究の推進方策

次年度の計画として、さらなる正答率向上のため、深層学習を用いた画像データの解析に取り組みたい。さらには、画像解析による濃度予測と今年度実施した数値データに基づく濃度予測とを組み合わせることで正答率の向上を目指したい。
また、今年度の機械学習において「未超過」と予測したにもかかわらず「超過」した事例がいくつか見られたことから、その時点での気象場について領域気象モデルwrfを用いた解析を行う。解析の結果、大涌谷園地の濃度場の情報を支配するような地点が見つかれば、そこに風向風速計等を設置し、モニタリングを行うとともに機械学習用のベースデータとして活用していきたい。

次年度使用額が生じた理由

コロナウイルスによる移動制限に伴い、研究協力者を含めた打合せや現場視察のために旅費及びその他として計上していた費用を使用しなかったため。
余った予算に関しては次々年度以降のシステム開発の委託費に回したい。

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公開日: 2021-12-27  

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