研究課題/領域番号 |
20K05045
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
加藤 正司 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (10204471)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 疎水性材料 / 遮水 / 不飽和土 / 浸透 / 自然暴露 |
研究実績の概要 |
当該年度の研究工程の内容は,①疎水材料の作製と,その物性・強度特性の把握,②保水性試験装置の改良,③長期測定システムの作製,である。①については,コンクリート表面被覆養生材を硅砂5号:水:養生材で質量比50:50:1の割合で混合してシラン処理を行った。得られた疎水材料は,疎水性を示す基本的な指標である水の接触角が約107度となり,十分な疎水性が得られていることが確認できた。さらに,疎水性材料を遮水層として用いる場合に重要な浸透水頭を測定すると12.3㎜となった。この値は,豊浦砂を同じ被覆養生材で同様に疎水化処理を行った場合に得られた6㎜よりも大きな値となった。このような違いは,2つの土試料の物理特性の平均粒径の差によって生じたものであると考えられる。②については,既往の連続加圧式保水政権装置の,マイクロテンシオメーターを取り除いた形式に改良を加えた。性能の検証試験として,豊浦砂を用いて水分特性曲線の測定を行った。得られた結果は,サクションが低い部分に関しては,既往の加圧板方式と同様な傾向を示したが,サクションが高い領域については,得られた水分特性曲線は既往のものとずれが生じることが判明した。この理由としては,空気圧載荷の速度が適切ではなかったことが考えられる。この点に関しては,次年度も継続して検討を加えて行く予定である。③については,当初,自然斜面内に遮水層を設置することを計画していたが,コロナの影響で実験に関わる時間が十分に取れないと判断し,模型土槽を作製して対応することに方針を変更した。模型土槽内に,厚さ10㎝の遮水層を作製して,当初予定していた土壌水分センサーと雨量計を設置して,降雨と遮水層内への浸透状況をモニターするシステムを作製し,データを収録した。約3か月間の収録期間内で,数回の降雨があったが,遮水層下には浸透していないことが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の目標である,①疎水材料の作製と,その物性・強度特性の把握,②保水性試験装置の改良,③長期測定システムの作製に関しては,「研究実績の概要」で述べているように,ほぼ達成されている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度以降は,①測定フィールドで実物大斜面模型を作製し,長期の測定する,②サンプリングを行い,遮水材の遮水性能の変化をモニターする,という2つの内容を実施予定である。①に関しては,研究実績の概要」で述べているように,コロナの影響で実験に関わる時間が十分に取れないと判断し,模型土槽を作製して対応することに方針を変更することとした。また②については,疎水性材料の接触角の測定,水分特性曲線の変化の測定,浸透水頭の測定を定期的にお実施する予定である。ただし,水分特性曲線の変化の測定のためには,連続加圧式保水性試験装置の改良が必要であり,当該年度ではそれに十分対応していないので,継続して検討する予定である
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