研究課題/領域番号 |
20K05049
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研究機関 | 公立千歳科学技術大学 |
研究代表者 |
江口 真史 公立千歳科学技術大学, 理工学部, 准教授 (40232946)
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研究分担者 |
木村 秀明 中部大学, 工学部, 教授 (10862302)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 災害状況 / IoTセンサ / 光ファイバ / 電柱倒壊 / 数値シミュレーション / 光ファイバセンサ / POF |
研究実績の概要 |
本研究は、災害時における電柱等の被害状況を光ファイバと局側設備の接続が確保/切断された場合それぞれに対して、「IoTセンサ」および「光ファイバの伝 送特性」を利用した技術の開発およびその適用限界を明らかにすることを目的として進められている。これに対して、令和3年度は下記の2つの課題に取り組む 計画を立てた。 課題1)「IoTセンサを利用した技術」: 利用可能なIoTデバイスの検証・選別を行い、最適なIoTセンサの開発を行う。また、災害時に想定されるセンサからの信号変化と状態検知の分析を行い、状態予測の高精度化の知見を得ることを目指す。 課題2)「光ファイバを利用した技術」: 光ファイバ伝送信号の変化から電柱の倒壊情報の判定に必要となる判定基準データを得るための実験環境(スケールダウンモデル)を構築し、信号波形の収集および分析を行とともに、各種ファイバ内の光分布の変化などを数値シミュレーションによ り解明することを目指す。 課題1に関しては、IoTセンサからの振動データに基づいた電柱倒壊情報の取得に対して、圧電素子を想定した地面の振動の電柱への伝播に関する数値シミュレーションを行い、電柱にも地面と同様な波形伝搬が観測された。さらに、加速度センサとピエゾセンサを利用した倒壊方向の検出の検討を進めている。 課題2に関しては、電柱倒壊による光ファイバの異常による戻り光の変化による倒壊方向の推定について、AI技術の応用もあわせて数値シミュレーションによる基礎的検討を進めている。また、前年度から引き続き、POFを利用したセンサシステムにおいて必要となるコンパクトで高性能なPOF光スターカプラの開発を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験環境構築に時間を要したのに加えて、半導体不足のため、機器およびパーツの納期遅れ、それに伴う実験の遅れのため。数値シミュレーションについても、導入した計算サーバの最新のパーツに起因したシステムのセットアップに想定外の時間を要したため(問題を克服して現在稼働状態にある)。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、課題1)IoTセンサを利用したシステム開発については、加速度センサやピエゾセンサの応用のための検証実験を進めており、そこから得られた技術的な問題点などの分析を行い、実用化へ向けた技術開発、高性能化を進める。さらに、倒壊時のセンサシステムからのバーストデータについての検討を行う。また、電柱の倒壊方向のセンシングについての技術的な課題が残されており、その解決のための技術研究を進める。 課題2)光ファイバセンサを応用したシステム開発については、SMFほか各種光ファイバごとに電柱傾斜・倒壊によって想定される光ファイバ変形による光ファイバ断面内パワー分布の変化を数値シミュレーションにより明らかにし、各種光ファイバの電柱の状態に対する感度特性の差異などの分析を行い、電柱倒壊のセンシングに最適な光ファイバ構造の探究を進める。また、すでに進めている光ファイバセンサシステムにおいて必要となる光デバイス開発についても引き続き行う。 これらの個々の技術的な課題の解決に加えて、実験室での縮小モデル、および現場実験による提案技術の妥当性の検証を進め、センシングシステムの構築を目指す。得られた成果をまとめて学会で発表し、海外論文誌へ投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ禍のため国内外出張が困難で学会発表がリモートに、および、半導体不足のため、機器およびパーツの納期遅れ、それに伴う実験の遅れのため。繰越分は、機器・パーツの購入および、成果発表費用に充てる予定。
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