研究課題/領域番号 |
20K05050
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
楠城 一嘉 静岡県立大学, その他部局等, 特任准教授 (10549504)
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研究分担者 |
鴨川 仁 静岡県立大学, その他部局等, 特任准教授 (00329111)
井筒 潤 中部大学, 工学部, 准教授 (90362433)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 地震 / 応力 / 断層 / 防災工学 / 地殻変動 |
研究実績の概要 |
本計画では、中小規模の地震の活動度の変化を捉える手法を用いて、地下にある断層周辺の応力の状態を推定することを目的としている。本年度は、その手法の一つ、b値という指標に基づく手法を用いて、(1)2016年の熊本地震(Nanjo et al., 2022)と(2)2021年の宮城県沖合で起きた地震(Nanjo and Yoshida, 2021)を事例として解析した。 (1)において、本震の起きる布田川断層では、かかっている力が本震の発生直前に緩和したことがわかった。さらに、ゆっくりした滑り(断層に沿って瞬時に滑る通常の地震と異なるゆっくりした滑り)が同断層で直前に起き、つまり、前駆滑りの可能性があったと解釈した。 (2)は、宮城県沖のプレート境界を断層とするマグニチュード (M)6.9の地震に引き続きM6.8の地震が隣接して続発した事例で、両地震が発生する前の応力状態は他地域と比べて高めであると推定された。また、M6.9の地震の断層付近では力がより強くかかっていたために、先行してM6.9の地震が起きた可能性が示唆された。 計画策定時に想定した(1)に加えて、新規の(2)を研究したのは、本計画の目的に合致する事例と判断したからである。つまり、M6.9の地震の発生直後から解析を予察的に進めた結果、将来のM6.8の地震の断層となる地域で応力の高まりが推定され、地震の続発の可能性があり監視が必要と判断した事例だからである。 現在、各研究者が得意とする手法を、最近の日本の地震に適用する研究を行なっているが、今年度の研究の重要性は、その一つのb値に基づく手法について適用可能性を検討できたことである。来年度は、他の手法についても同様の検討を行い、複数の手法を活用できる研究環境を整備して、断層周辺の応力状態の推定の確度を向上させ詳しい応力の変化を捉える研究を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度もコロナウイルス感染拡大防止の観点から、在宅勤務の日々が多かったが、在宅でも研究を進められるように工夫しながら研究環境を整備しつつ、研究成果の一部を学術論文(Nanjo and Yoshida, 2021; Nanjo et al., 2022)で公表できた。このことは、概ね順調な研究進捗に裏付けを与えるものである。
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今後の研究の推進方策 |
研究調書に従い、主目的である、日本の大地震を事例とした断層周辺の応力状態を推定する研究を進める。中小規模の地震の活動を解析する手法が複数あるため、各手法の高度化と、事例ごとに最適な手法の組み合わせを検討する。また、初年度に実施した研究(Nanjo, 2020)や分担者が現在進めている研究により、地殻変動に基づく手法も活用できる様になってきたので、地震活動と地殻変動の両方を容易に比較できるように研究環境を整備しつつ事例ごとの研究を進める。この方策により、複数の手法を併用し互いに補って、見えない地下の応力状態を確度高くそして詳細に推定する可能性を高めることができる。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の研究に必須の物品を購入したが、およそ3,000円の残額を繰越をした。「現在までの進捗状況」で記したように、進捗状況はおおむね順調に進展しているため、額は少額であるが、今年度に無理に使い切るより、次年度分として請求した助成金と合わせて使用することにした。今後もコロナウイルス感染拡大など不測の事態も想定されるため、次年度の進捗状況に合わせて、よりよい研究環境の整備に活用する。
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