研究課題/領域番号 |
20K05052
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
酒井 久和 法政大学, デザイン工学部, 教授 (00360371)
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研究分担者 |
梶谷 義雄 香川大学, 創造工学部, 教授 (80371441)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 道路ネットワーク / 地震 / 復旧性 / 機能性 / 減災 / 統計分析 |
研究実績の概要 |
・2011年東北地方太平洋沖地震による被害が生じた福島県の中南部地域を対象地とし,ロジスティック回帰分析を用いて斜面の崩壊確率評価式を作成した.得られた評価式を新潟県中越地震,新潟県中越沖地震に適用し,横断形状,植生,地震動,地質時代,実効雨量を用いた斜面崩壊確率の信頼性評価式において,約6割の的中率となった.また,他地震における検討でも約6割と同程度の的中率が得られた. ・2004年新潟県中越地震,2007年新潟県中越沖地震が発生した新潟県を対象地として,県が管理する斜面カルテに加え,地震動強度指標データ,降水量,地質図,土壌図,植生図といった空間情報データの収集を行い,地質学,統計学の両観点から斜面崩壊被害の特徴を掴んだ.共分散構造分析によって複数の説明変数が集約された潜在変数を用い,実際に発生した斜面崩壊に対して説明力の高いロジスティックモデルを作成した. ・道路橋に被害を与えた新潟県中越地震,能登半島地震,新潟県中越沖地震,岩手・宮城内陸地震,東北地方太平洋沖地震,熊本地震における橋梁被害状況および復旧状況を調査し,これらのデータを用いてロジスティック回帰分析を行った.さらに,ROC曲線に基づきモデル精度の検証を行った結果,モーメントマグニチュード,震源深さ,幅員,橋面被害の有無を説明変数とするロジットモデルの判別能力が高く,当該モデルによる地震発生後72時間以内に復旧する確率の予測式を提案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度の4つの研究計画のうち,橋梁の損傷程度と交通規制期間のデータ収集・分析,地震時における斜面被害率の分析,道路ネットワークの経時的機能性評価手法の開発の3テーマについては,ほぼ計画通りの成果が得られた.しかし,斜面災害・盛土被害に関する道路啓開作業調査については,COVID-19の影響で聞き取り調査が実施できなかった.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策:地震時における斜面被害確率の分析については,複数の地域における斜面災害に対しても頑健なモデルの構築を行う.この際,統計学的な手法の改良に加え,機械学習の分野で発展してきた分類手法についても検討を行い,両アプローチを統合したモデルの構築を目指す.また,新潟県を対象とした道路回復過程と孤立集落の分析を通じ,孤立集落の住民数と孤立日数との関係を整理する. これまで斜面被害確率の分析において,被害要因の影響が陽に見える共分散構造分析,ロジステック回帰分析などの手法を採用してきたが,機械学習で分析精度がどの程度向上するか検討を試みる.
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:新型コロナウィルスの感染拡大により,現地での必要な書類の収集ができなかったため. 使用計画:今年度も現地での書類の収集が困難であると想定されるため,研究分担者としてAnirban博士を加え,海外の当該研究分野の文献調査ならびに海外の研究者との情報交換によって当該研究の前進を図る.
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