従来は材料中の様々の熱伝導度への影響は、構造欠陥の長さスケールと平均自由行程の相対的関係にて理解されてきた。これにより例えば結晶粒の微細化、特にナノスケール結晶粒の導入による熱伝導度の低下が説明されてきた。また、異なる構造欠陥種の影響は加算則による説明が試みられてきた。本研究では計算科学的手法を駆使し計算機実験を行う事で、長さスケールの個別の構造欠陥種の熱伝導度を明らかにするとともに加算則に囚われない影響の解明を行った。これは学術的には従来理論を越えた新たな知見の獲得で今後の研究を加速させる意義があると共に、ますますダウンサイジング化が進むデバイスの放熱・遮熱への道を拓いた意義がある。
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