Sm2Fe17N3の粒子表面では一軸異方性が失われ磁化反転が容易になっていると仮定した。表面では結晶の連続性が断ち切られており、表面上に位置するSmサイトの結晶場は結晶内部と全く異なるのがその根拠である。この仮説に立ち、表面上の結晶場を修復し内部のそれに近づける物質「結晶場修復材料」を設計した。その効果を第一原理計算によって予測する一方、実際に酸化膜フリーのSm2Fe17N3粉末へその材料をコーティングして、保磁力への影響を検証した。その結果、40%を超える保磁力の増加を確認した。一方、残留磁化の低下がほとんどない事実は、被覆相が主相を侵食することなく電子論的に作用することを示唆している。
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