研究課題/領域番号 |
20K05093
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
古田 寛 高知工科大学, システム工学群, 教授 (10389207)
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研究分担者 |
岩田 誠 高知工科大学, 情報学群, 教授 (60232683)
中嶋 誠 大阪大学, レーザー科学研究所, 准教授 (40361662)
小林 弘和 高知工科大学, システム工学群, 准教授 (60622446)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | カーボンナノチューブ / ニューロモーフィック / 人工神経模倣回路 / コンダクタンス / 導電率 / カーボンナノチューブフォレスト / メタマテリアル |
研究実績の概要 |
カーボンナノチューブ(CNT)を媒体とする人工神経模擬回路(CNTメタネットワーク)を作製し、光・電気信号入出力による学習・演算について実験で検証を行う。熱CVD法で基板成長により合成した垂直配向CNTフォレストについて、横方向(CNT配向と直交方向)へのコンダクタンスをI-V測定で評価した。膜厚5から25μmの範囲で調整したCNTフォレストでは、膜厚が薄いほど横方向導電率σが単調増加したが、膜厚を1μmに薄くすることで導電率σは減少した。断面SEM画像解析により、5~25μm膜厚のCNTフォレストで上部ランダム配向比率が高い層の横方向コンダクタンスGが低いため、膜厚が低下し上部ランダム配向層の相対体積比率が増加したことで導電率σが下がったと結論した。1μm膜厚のCNTフォレストは断面SEM画像解析でCNTフォレストが不均一成長し横方向に島状不連続膜を形成し導電率が低下したことを明らかにした。熱CVDでの触媒微粒子凝集条件を調整し、ガス導入前アニール時間依存性を調べ、均一アニール条件を3~3.5分であることを特定し、アニール時間短縮により、目標とする短尺(1μm)均一な高配向CNTフォレスト薄膜の作製に成功した。膜厚1μmに調整した均一膜厚のCNTフォレスト薄膜において、CNT密度が高いほど横方向導電率が上昇し、CNT同士の電気的コンタクト数が増えたために横方向導電率が上昇したと結論した。人工神経模倣回路の現時点での目標モデルとして、CNT同士のコンタクトを双安定記憶状態として用いるため、I-V特性のヒステリシスカーブを評価した。アップワーズとダウンワーズ方向のI-V特性にヒステリシスが生じたが、装置測定限界程度であったので、今後ヒステリシスを増加させるCNTフォレスト構造の探索を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、カーボンナノチューブを媒体とする人工神経模擬回路(カーボンナノチューブメタネットワーク)を作製し、光・電気信号入出力による学習・演算について実験で検証を行うことである。電気信号による学習・演算について、現時点での人工神経模倣回路の目標モデルとしてCNT同士の電気的コンタクトを想定し、電気的コンタクトを双安定記憶状態として用いる有効性を検証する。 電気的特性では、想定する膜厚(~1μm)の垂直配向CNTフォレストをアニール時間調整により再現性良く得ることが出来、横方向コンダクタンスと導電率がCNTフォレストの電気的接触で説明し、構造と電気特性の関係の解明で進展させることが出来た。電気的特性において双安定記憶状態として期待し、引き続き動作機構を解明する研究を行う。横方向コンダクタンスのI-V特性のヒステリシスカーブを評価したところ、再現性の良いヒステリシスを観測出来たが、装置の測定精度限界程度で小さいことが解決すべき課題である。 光学的特性については、カーボンナノチューブフィルムの赤外吸収特性評価を行なった。CNTの特性として非線形性を有する単層CNTフォレストを合成し、特性評価を行う計画であったが、コロナによる研究室立ち入り制限の影響で計画どおりに実験実施を行うことが出来ず進捗が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
CNTフォレストと電気特性・光学特性の相関について調査を行う。CNTフォレストメタマテリアル形状と電気特性・光吸収特性の相関を調査し、双安定記憶状態として用いるCNTフォレストフィルムの電気特性に及ぼすCNTフォレスト構造、及び特定波長 に吸収を持つCNTフォレストメタマテリアル形状を明らかにする。 1μm厚さのCNTフォレストフィルムの電気特性評価では、初年度に双安定な記憶状態として有望な、アップワーズとダウンワーズ方向のI-V特性にヒステリシスを観測することができたが、測定装置測定限界程度と小さく、記憶状態として利用するために、今後I-V特性ヒステリシスを増加させるCNTフォレスト構造を探索する。また、記憶状態保持の時定数は、ニューロモーフィック素子の動作速度に直接影響を与える重要な性能で、パルス応答でのIV特性評価を行う。 CNTフォレストフィルムの光学特性について、研究室の保有技術である水素導入による触媒微粒子凝集抑制を行い、単層CNTフォレストを作製し、光学特性とSWNTフォレスト構造の関係を明らかにする。本研究では、単層CNTフォレストフィルムへの双安定記憶状態の記録として、光学特性の変化と保持を想定しており、光学特性変化と維持の光照射効果を調査する。 本研究期間で、CNTフォレストメタマテリアルの非線形光学特性を利用し、M N I S T手書き文字パターンを識別する研究において、各要素技術開発することで、表面の非常に大きいCNTフォレストが作る電気的ネットワークが有する非線形光学特性と、メタマテリアル配線を組み合わせて設計した分散特性を利用した学習・読み取りによって、CNTフォレストメタマテリアルによる双安定状態を実現し、CNTフォレストメタマテリアルと視神経系構造との類似性について、人工材料で実現できることを明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会発表がリモート発表となり、旅費などを使わなかったため
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