研究課題/領域番号 |
20K05098
|
研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
古川 怜 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (50589695)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | プラスチック光ファイバー / 異方性介在物 / 弾性変形 / 複屈折相殺効果 / 共重合比 / 界面ゲル重合法 |
研究実績の概要 |
本課題は、プラスチック光ファイバー内に分散する介在物(ドーパント)の配向を調べることを目的とする。将来的には、プラスチック光ファイバーの優れた弾性的性質を利用して応力センシングに用いることを想定しており、本課題はその基礎研究に相当する。想定する介在物に求められる条件として、光ファイバーの大胆な変形に伴って内部で配向を揃えられるよう、形状に大きな異方性を持つこと、そしてこれと異方性軸を共有する光学的異方性を持つことが挙げられる。 いくつかの光ファイバー試料を作製し、円柱型サンプルを上下の平板でプレスした系を検証した。試料のバリエーションとしては、ドーパントの種類と濃度、母材ポリマー、コア/ファイバーの直径比などをパラメーターとして振った。まず、この上下平板でプレスする最もシンプルな系において、ファイバーの透過光が応力によってどのように変わるかを調査した。この測定結果を構造計算によって検証した結果、理想的なヘルツの接触応力から導かれるファイバー断面内の応力分布が実際と異なることが示唆された。 この結果を踏まえ、ファイバーの構造パラメーターへのフィードバックを行ったところ、コア/ファイバーの直径比のコントラストを大きくすることが応力への光信号の応答をより顕著化することが、現状の指針として得られている。 また、より顕著な信号を取り出すために加圧部全長を光ファイバー全長に対し多くを占めるように設定した。この結果、プラスチック光ファイバーの微細な径変動がもたらす影響をより詳細に検証する必要が出てきた。研究室で製造する光ファイバーはプリフォームの延伸により得られるもので、この製造法をとる限りある程度以上の径変動は取り除けない。現在、構造計算により、この径変動の周期と大きさが光ファイバーの断面応力分布へ与える影響を調査している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた試料作製、評価、構造計算が相補的に進められいる。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度の結果を踏まえ、光ファイバーのコア/ファイバー直径比のコントラストを現状よりもさらに拡張するための製造系を構築中である。この系を完成させ、試料作製と評価を行う。構造計算においては、これまでは均一体のプレスを想定していたが、ドーパントの多い部分の機械的性質を考慮した系などを計算に含めたいと考える。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による影響により研究が遅延したため。
|