| 研究課題/領域番号 |
20K05106
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| 研究機関 | 茨城工業高等専門学校 |
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研究代表者 |
依田 英介 茨城工業高等専門学校, 国際創造工学科, 准教授 (70377589)
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| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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| キーワード | 有機カチオン / 固体酸ナノシート / 固体塩基触媒 |
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| 研究実績の概要 |
本課題の研究代表者らは、これまでにゼオライトなどの固体酸を有機カチオン交換でイオン交換した触媒が、塩基性を有することを見出してきた。その中で、固体触媒の塩基点と、対イオンとして存在する有機カチオンの距離が触媒活性に影響を与える可能性があることが示唆された。そこで本課題では、様々な固体酸と有機カチオンを組み合わせた触媒を調製し、その反応活性を調べる。それにより、固体酸と有機カチオンの距離が、反応活性に影響を与える可能性があるという仮説を検証することが目的である。
今年度は、遷移金属層状化合物を剥離して得られる固体酸ナノシートのプロトンを有機カチオンとイオン交換することで得られる、有機カチオン交換ナノシートの調製を行った。有機カチオンには、テトラメチルアンモニウムとテトラブチルアンモニウムを用いた。テトラブチルアンモニウムで調製した有機カチオン交換ナノシートでは、アルキル鎖の分だけテトラメチルアンモニウムよりも陽電荷の位置が触媒表面から離れると考えられる。固体酸層状化合物の層剥離の方法や、有機カチオンとのイオン交換の条件・方法を探索し、粉末X線回折などによるキャラクタリゼーションの結果から、使用した2つの有機カチオンで、ともに有機カチオン交換ナノシートが調製できていることが確認された。
有機カチオン交換ナノシートの触媒活性は、酪酸エチルとメタノールのエステル交換反応により行った。その結果、仮説の通り、固体触媒表面の負電荷と有機カチオンの陽電荷が離れていると考えられるテトラブチルアンモニウムで調製した触媒の方が、テトラメチルアンモニウムで調製したものより高活性であった。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの影響により思った通りに研究を進められない時期もあったが、おおむね順調に進展していると考えられる。理由としては、2種類の有機カチオンを用いて触媒調製に成功し、活性試験でも仮説を支持する結果が得られているからである。
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| 今後の研究の推進方策 |
今年度は、テトラメチルアンモニウムとテトラブチルアンモニウムを用いて有機カチオン交換ナノシートの調製を行い、それぞれの有機カチオン交換ナノシートが調製できていることが確認された。また、酪酸エチルとメタノールのエステル交換反応により行った触媒活性の評価では、仮説の通り、テトラブチルアンモニウムで調製した触媒の方が、テトラメチルアンモニウムで調製したものより高活性であるという結果が得られた。しかし、テトラブチルアンモニウムとテトラメチルアンモニウムを用いた場合では、調製法の一部が異なっていた。次年度は、この調製法の違いが活性に影響を与えていないかを検証する。
今年度は、有機カチオン交換ナノシートの調製は以下の通りに行った。遷移金属層状化合物の層間にあるリチウムをプロトン交換後、さらにテトラブチルアンモニウムで交換する。これにより各層が剥離し、テトラブチルアンモニウム体のナノシートが得られる。テトラメチルアンモニウム体のナノシートを得るためには、テトラブチルアンモニウム体ナノシートをプロトン交換し、プロトン体ナノシートを得た後に、テトラメチルアンモニウムでイオン交換した。
次年度は、テトラメチルアンモニウム体ナノシートの調製法に合わせて、プロトン体ナノシートをテトラブチルアンモニウムでイオン交換することで、テトラブチルアンモニウム体ナノシートを調製する。調製した触媒の活性を今年度と同様に、酪酸エチルとメタノールのエステル交換反応により評価することで、有機カチオン交換ナノシートの調製法の違いが活性に影響を与えていないかを検証することができると考えている。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により思った通りに研究を進められない時期があったので、予定通りの予算消化とはならならなかった。次年度以降は、触媒調製に必要な器具、試薬の購入や高反応装置の維持・改良に必要な物品の購入や、論文投稿のために使用していく予定である。
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