| 研究課題/領域番号 |
20K05107
|
|---|
| 研究機関 | 福井工業高等専門学校 |
|---|
研究代表者 |
千徳 英介 福井工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (10436834)
|
|---|
| 研究分担者 |
安丸 尚樹 福井工業高等専門学校, 機械工学科, 嘱託教授 (90158006)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
| キーワード | フェムト秒レーザー / ナノ構造 / 抗菌試験 / DLC膜 |
|---|
| 研究実績の概要 |
生体材料として期待される硬質膜であるDLC(Diamond-Like-Carbon)膜表面にフェムト秒レーザ照射によってナノオーダーの微細構造を形成し，低摩擦係数を維持しながら高い抗菌効果の発現を可能にする新規材料の開発を目指している．レーザーによって上記のような新規材料を作成できれば，大面積や曲面に簡便に抗菌効果をもたらす新たな方法として普及し，人工関節などの生体材料に適用され，安全性の向上につながると期待される．
フェムト秒レーザーを，アブレーション閾値付近のエネルギーで2種類のDLC膜（ta-C，a-C:H）表面に照射してナノオーダーの微細な構造を形成し，その微細構造をSEM（走査型電子顕微鏡）およびSPM（走査型プローブ顕微鏡）で観察し、凹凸形状を測定した．微細構造付与DLC膜の抗菌性評価は，大腸菌を用いたフィルム法（JIS Z 2801）にて行い，培養後の生菌数で評価した．どちらの膜においても200nm以上の周期を持つ微細構造が形成されれば抗菌性が向上することがわかった．また，微細構造付与面のボールオンリング摩擦試験を行い，未加工DLC膜よりもやや摩擦係数が大きくなることがわかった．これらの結果については，学術講演会にて報告した．
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
材料表面の濡れ性測定と抗菌評価試験の結果を分析し，抗菌効果が表面形状依存によって発現することを確認できた．さらに，抗菌効果を発現するための表面形状が明らかになりつつあり，微細構造の形状最適化の基盤を構築し始めることができた．また，予定通り摩擦摩耗試験を実施し微細構造付与面の摩擦特性を評価した．一方で，表面形状の最適化についてはさらなる加工方法の改善が必要で不十分な進捗である．
以上から，おおむね順調に進呈していると判断した．
|
| 今後の研究の推進方策 |
今年度は，抗菌性を発現する微細構造の形状を最適化するために，より広範な加工条件での微細構造形成を行う．その際に，微細構造のアスペクト比を向上させるために下処理としてDLC膜に微細な凹凸を機械的に付与することを検討する．並行して摩擦摩耗試験を行い，抗菌性と摩擦特性を両立する形状の模索する．以上の結果を統合して最適な微細構造形状を提案する．
|
