研究課題
炭素繊維/樹脂の界面の精密設計を行うため、これまでの成果を踏まえて、まず炭素繊維のモデル物質として、単分子層の被覆量の熱重量分析による定量的分析と赤外分光分析が可能な1μmサイズのダイヤモンド粒子を用いた検討を行った。カルボン酸変性したポリロタキサンと変性前のポリロタキサンの被覆効果を比較した。溶媒で充分に洗浄除去しても、カルボン酸変性したポリロタキサンでは単分子結合被覆できていることを確認した。これは変性で導入されたカルボン酸とダイヤモンド粒子表面のカルボン酸との間の水素結合の形成による効果であると解釈でき、この基礎知見を活かして炭素繊維への被覆を設計することにした。炭素繊維樹脂複合体を溶融混合にて作製し、ミニダンベル試験片を圧縮成形で作製し、引張強度特性を評価して、強度と伸びを両立した界面設計ができているかの実証を、以下の5つの比較から検討した。(i)部分カルボン酸変性したポリロタキサンを被覆した炭素繊維(15wt%)、マトリックス(85wt%)として、ポリプロピレンを(82.45wt%)、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(2.55wt%) (ii)炭素繊維とポリプロピレン (iii)カルボン酸変性したポリロタキサンを被覆した炭素繊維とポリプロピレン (iv)炭素繊維とポリプロピレンと無水マレイン酸変性ポリプロピレン (v)カルボン酸変性していないポリロタキサンを被覆した炭素繊維とポリプロピレンと無水マレイン酸変性ポリプロピレンこれらの比較から、従来の材料設計では(iv)が用いられ、強度は発現できるが、伸びが低かった。一方、(i)により、強度と伸びの両立が実現できることを明らかにした。極微量の部分カルボン酸変性したポリロタキサン被覆で、炭素繊維とは水素結合、無水マレイン酸変性と共有結合で結合することで、環動高分子の効果により強度と伸びを両立できることを実証した。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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