研究課題/領域番号 |
20K05112
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
黒瀬 隆 山形大学, グリーンマテリアル成形加工研究センター, 准教授 (60375326)
|
研究分担者 |
伊藤 浩志 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 教授 (20259807)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 扁平粒子強化高分子複合材料 / 貝殻真珠層 / 力学的特性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、扁平粒子が高充填・高配向し、高強度・高弾性率、延性破壊を示す貝殻真珠層のような扁平粒子強化高分子複合材料を作製し、「力学特性」と「材料特性因子」の定量化を行い、その関係性を力学解析により解明することである. 2020年度は、扁平粒子強化複合材料の「力学特性」と「材料特性因子」との関係解明に向けて、(1)複合材料の材料特性因子の定量化、(2)複合材料の作製と力学特性の定量評価を行うことを計画した. (1) 複合材料の材料特性因子の定量化においては、複合材料の作製に向けた各材料の入手とその材料特性因子の定量化に向け、柔軟な分子構造を含むグリシジル化合物を主剤に用いたエポキシ樹脂を作製し、力学特性を大幅に制御可能なマトリクス高分子の作製方法を確立し、力学特性(強度、弾性率、破断ひずみ)を定量化した。また、マイカ粒子のアスペクト比についてもSEMによる直接観察により定量化した。(2)複合材料の試作とその材料特性の定量化においては、マイカ粒子とエポキシ樹脂を用いた複合材料の作製方法を確立し、力学特性を定量化した。また、複合材料の材料特性因子である複合材料中の扁平粒子の体積分率、配向特性を定量化した。 上記のように「力学特性」と「材料特性因子」の定量化することで、2021年以降に行うShear-Lagモデル,マイクロメカニクスモデル,有限要素法(FEM)を用いた複合材料の力学解析を通して、「複合材料の力学特性」と「材料特性因子」との関係性を明らかにすることが可能となることから、扁平粒子強化高分子複合材料が延性破壊を示す機構、重要因子を明らかにする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は、扁平粒子強化複合材料の「力学特性」と「材料特性因子」との関係解明に向けて、(1)複合材料の材料特性因子の定量化、(2)複合材料の作製と力学特性評価を行うことを計画していた.以下のように概ね順調に材料特性因子の定量化を進めることができた。 (1)複合材料の作製に向けた各材料の準備とその材料特性因子の定量化 柔軟な分子構造を含むグリシジル化合物を主剤に用いたエポキシ樹脂を作製し、力学特性を大幅に制御可能なマトリクス高分子の作製方法を確立し、力学特性(強度、弾性率、破断ひずみ)を定量化した。また、マイカ粒子のアスペクト比についてもSEMによる直接観察により定量化した。 (2)複合材料の試作とその材料特性の定量化 マイカ粒子とエポキシ樹脂を用いた複合材料の作製方法を確立し、力学特性を定量化した。また、複合材料の材料特性因子である複合材料中の扁平粒子の体積分率、配向特性を定量化した。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年に引き続き、補強粒子の配合比を変えた複合材料の作製と材料特性因子の定量化を行う.また、得られた複合材料の「力学特性」と「材料特性因子」との関係明確化のために力学特性解析を進める.特に、2021年度は、高分子と扁平粒子との界面強度の制御とその定量化に注力する.まずは未処理の粒子を用いるが、界面強度の制御法として、分子末端にアミノ基を有するシランカップリング剤を用いる.カップリング剤の添加量と処理時間を変え、粒子表面に結合する官能基量を制御する. 界面強度は、マイカ切出板を用いて、マトリクス高分子材料を接着剤とした引張せん断試験を行い、界面強度の定量化を行う.
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度に50万円以上の物品として計上していた「小型抄造装置」は、本事業以外の予算で購入することができた。一方、本年度の研究を通して、次年度以降に力学解析用ワークステーションおよびFEMソフトのライセンス費用が必要となったため、上記の本年度使用しなかった助成金は、翌年度分の助成金と合わせて使用する計画である。
|