本研究の目的は扁平粒子が高充填・高配向し高強度・高弾性率、延性破壊を示す貝殻真珠層のような扁平粒子強化高分子複合材料を作製し「力学特性」と「材料特性因子」の定量化を行い、その関係性を力学解析により解明することである. 本研究では力学特性(弾性率、強度、伸び)を大幅に制御可能なエポキシ樹脂と高アスペクト比マイカ扁平粒子やアルミニウム合金扁平粒子との複合材料を作製した。特にマイカ扁平粒子を用いた場合には弾性率が20GPa以上、強度200MPa以上の高弾性・高強度の力学特性を示す複合材料を作製可能とした。エポキシ樹脂の特性が複合材料に大きな影響を与え、伸びの大きい柔軟なエポキシ樹脂を用いると、複合材料の最大ひずみ(最大強度を示すときのひずみ)が大きくなり延性破壊を示すことを確認した。複合材料が最も高い破壊靭性値を示すのは、複合材料中で破壊しない扁平粒子が多数存在して、且つ、マトリクス樹脂自体の靭性値が最も高いときであることを、体系的な実験を行い明らかにした。 この力学挙動を理解するために有限要素法(FEM)を用いた解析を進めた。具体的には三次元CADを用いて扁平粒子が面内方向に高度にマトリクス樹脂中に配向・分散する複合材料のモデリング、エポキシ樹脂の特性を想定した非線形材料モデルのリングを行った。市販のFEMソフトを用いた非線形解析において、計算コスト低減のための二次元の解析モデルが適用可能なことを明らかにした。これらの検討からマトリクス樹脂の力学特性が、扁平粒子の発生応力と、複合材料全体の伸びに大きな影響を与えることを明らかにした。
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