研究課題/領域番号 |
20K05122
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
川人 洋介 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭技術開発プログラム), プログラム長 (70379105)
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研究分担者 |
伊藤 元雄 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), グループリーダー代理 (40606109)
嶋根 康弘 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究プログラム), 准研究員 (40638251)
松井 洋平 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭技術開発プログラム), 特任技術副主任 (90756199)
鄭 美嘉 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究プログラム), Young Research Fellow (00846438)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | レーザ溶接 / セラミックス / マントル物質 / レーザその場溶岩生成 |
研究実績の概要 |
本研究では、地球内部のマントルではあらゆる物質が一体化しており、その原理を解明すれば、溶接不可能材料であるセラミックス同士でも溶接のような一体化が可能になることに注目する。レーザ加熱によるマントル物質の溶融挙動の解明に基づき、光と物質の相互作用の新たな場を探索する為に新開発した「レーザその場溶岩生成」プロセスをセラミックの局所溶融部生成用に再設計し、相変態挙動も制御することで、汎用的に利用できる、高出力レーザを用いた簡易的新セラミックス溶接法の創出に挑戦する。今年度は下記の研究課題について実施した。 ①マントル物質の一体化機構の解明:レーザを用いたセラミックス溶接技術を念頭に、マントル物質のあらゆる物質を一体化する機構について解明するため、マントル物質に高出力レーザを照射し、その場で溶岩を生成し、溶融・再凝固時の物性の変化や、形質変化試験を実施する。この試験に必要となるマントルゼノリスを採捕するために、島根県・隠岐の島に露出するマントルゼノリス(http://www.oki-geopark.jp/episode/geohistory/stage3/mantle-xenolith/)の地質調査・岩石試料採取を行った。来年度、詳細な観察・分析を実施する。 ②セラミックスの局所溶融部を生成するその場溶岩生成手法の設計:レーザ加熱時の溶融・飛散課程を理解し、飛散方向を制御して、局所溶融部を所定の位置に形成できるようにプロセス設計するために、我々が独自開発した数値解析粒子法に、蒸発粒子の再付着過程をモデル化したアルゴリズムを開発した。さらに、本年度、接合プロセスを数値的観点から検討した結果、1500万以上の粒子数が必要になる可能性もあり、計算時間の短縮の為、海洋研究開発機構が新規に導入した地球シミュレータを活用した数値計算を視野に入れた検討も開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
所定の研究課題を遂行できているため
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今後の研究の推進方策 |
①マントル物質の一体化機構の解明(令和3年度):海洋研究開発機構が所有する様々な分析機器を用いてマントル物質に包含される化合物を詳細に調査し、調査結果に基づいて一体化過程で発現する化学反応(酸化・還元反応等)を推定し、溶接・接合工学の利用できる化学反応を選定する。 ②セラミックスの局所溶融部を生成するその場溶岩生成手法の設計(令和3年度):マントル物質の一体化機構の解明により選定された化学反応を念頭に、レーザ加熱時の飛散を伴う局所溶融現象について実験的・理論的な解明を試みる。実験的には材料内部の現象を観察する必要があり、X線を用いて実験的に溶融・飛散課程を詳細に明らかにする。 ③高出力レーザを用いた新セラミックス溶接の可能性探索(令和3年度、4年度):汎用的で広い分野におけるセラミックス溶接を実現するためには、①の知見および②の設計に基づき所定の溶接位置に局所溶融部を形成する溶接法の可能性を探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
粒子法のソフト開発を予定していたが、これまでの研究成果を活用することで、効率的な研究を推進することができた。次年度において溶融・飛散現象を検証する為のSPring8での実験に使用し、より詳細なデータを取得するのに努める。
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