昨今の世界的な状況より環境問題や資源問題だけでなく、エネルギー問題を総合的に解決することが重要である。それらを達成するために、バイオマス資源を有効活用し、製造プロセスが簡便で安価なキャパシターの開発を目指している。そこで、原料としてセルロースナノファイバーのBC(ナタデココゲル)を使用し、界面活性剤を用いて、細孔制御されたCNF(カーボンナノファイバー)をワンプロセスで作製し、それらの静電容量を測定した。硫酸系とリン酸系の2種類の界面活性剤を添加したBCからCNFを作製した。界面活性剤を添加したBCが、界面活性剤未添加のそれと比較して炭素化収率や密度はほとんど変化が無いにも関わらず、比表面積は硫酸系またはリン酸系界面活性剤を添加し作製したCNFはそれぞれ約7倍または約2倍と大幅に増加した。また、電子顕微鏡観察を行ったところ、硫酸系界面活性剤を添加したBCから作製されたCNFはより気孔が開くとともに崩れたような組織が見られた。さらに、X線光電子分光分析より、硫酸系界面活性剤を添加したBCから作製されたCNFは、界面活性剤未添加のそれより含酸素官能基の相対量が増加していた。つまり、界面活性剤を添加することは、それがセルロース分子上から炭素原子を奪い、CNFに細孔を開孔させることが推察された。その上で、これらの供試体に対する静電容量を測定したところ、硫酸系界面活性剤を添加することで約1.5倍となったが、リン酸を添加してもそれらは増加しなかった。したがって、BCへ硫酸系界面活性剤を添加することで、作製されるCNFは比表面積が劇的に増加するとともに、静電容量も増加するとの知見が得られた。
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