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2023 年度 実施状況報告書

反跳粒子検出法を用いたリチウムイオン二次電池内の過渡的リチウム蓄積量評価法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 20K05138
研究機関名城大学

研究代表者

土屋 文  名城大学, 理工学部, 教授 (90302215)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワードリチウム酸化物 / リチウムイオン電池 / リチウムイオン移動機構 / 大気型反跳粒子検出法 / リチウム蓄積量 / 液体電解質 / 水素 / 正極/電解質界面
研究実績の概要

本研究では、大気雰囲気において液体中のリチウム濃度を約10 nmの深さ分解能で高感度に測定できる反跳粒子検出(ERD)法を用いて、リチウム(Li+)イオン電池の充放電時における電極-液体電解質界面のLi+イオン移動量をその場で測定し、Li+イオン移動機構を解明するとともに、充放電時の電極および電解質内の過渡的なLi蓄積量を定量的に評価する手法を確立することを目的とした。
マグネトロンスパッタリング蒸着装置を用いて、厚さ約100 nmのLiCoO2薄膜を寸法25.4 mm×25.4 mm×150 μmのLATPの片側に正極として蒸着した後、厚さ約10 nmのAuおよびPtをLiCoO2およびLATP側に集電体として蒸着してAu/LiCoO2/LATP/Pt試料を作製した。この試料に高速(150 mV/s)および低速(9.62 mV/s)で±2.8 Vまで印加しながらAu/LiCoO2/LATP界面近傍におけるLi濃度分布を9 MeVのO4+イオンビームを用いたERD法により測定した。
得られたERDスペクトルより、LiCoO2正極中のLi濃度は充電によって72%(Li0.28CoO2)減少した後、高速放電では48%(Li0.48CoO2)、低速放電では95%(Li0.95CoO2)まで増加することがわかった。これは、高速放電ではLiが正極中に戻るが再び固体電解質側へ移動していると考えられる。また、Au/LiCoO2界面付近のLi濃度は低速放電によって未充電のLi濃度より高くなり、放電速度に依存することも判明された。また、Au/LiCoO2界面付近のLi濃度は低速放電によって未充電のLi濃度より高くなり、放電速度に依存することも判明された。しかしながら、LiCoO2中のH濃度は充放電により変化しないことがわかった。LiCoO2中に蓄積されたHはLi+イオン移動を妨げていることが考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

大学院生および技術職員の協力を得て、これまで、既存の装置を改良したイオンビーム分析(反跳粒子検出(ERD)法)装置を用いて、異なる電圧で充放電されたLi+イオン電池内のLiCoO2正極材料中のLiおよびH濃度を同時に測定することを可能にした。
また、購入した温度および湿度調整装置を用いて、大気雰囲気で加熱温度および湿度を変化させながらLi+イオン電池内のLiCoO2正極中のLiおよびH濃度を調べられるようにした。

今後の研究の推進方策

購入した温度および湿度調整装置を用いて、大気雰囲気で加熱温度および湿度を変化させながらLiCoO2正極からLi(あるいはC)負極へ、また、Li(あるいはC)負極からLiCoO2正極への電位勾配によりLiPF6液体電解質内を駆動されて流されるLi+イオンの流量をその場で測定するとともに、電気化学測定装置を用いて計測する電流値と比較し、放電時のLi+イオン移動量と電気特性との関連性を調べる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Hydrogen absorption and desorption characteristics of H2O-uptake LiCoO2 materials at room temperature2024

    • 著者名/発表者名
      Kataoka K.、Tsuchiya B.、Kato R.、Terasawa R.、Suzuki K.
    • 雑誌名

      International Journal of Hydrogen Energy

      巻: 50 ページ: 599~604

    • DOI

      10.1016/j.ijhydene.2023.10.039

    • 査読あり
  • [学会発表] 充放電中の全固体リチウムイオン電池内の電極/固体電解質界面におけるリチウムイオン動的挙動2023

    • 著者名/発表者名
      寺沢亮輔、土屋文、片岡啓介、佐々木知子、山本春也、髙廣克己
    • 学会等名
      日本金属学会 秋の大会, (ポスター講演) 講演番号 P273
  • [学会発表] In-situ measurement of lithium transfer around electrode/solid electrolyte interfaces in all-solid-state batteries under charging and discharging using elastic recoil detection techniques2023

    • 著者名/発表者名
      B. Tsuchiya, K. Suzuki and T. Suzuki
    • 学会等名
      IC on PROCESSING & MANUFACTURING OF ADVANCED MATERIALS: Processing, Fabrication, Properties, Applications (THERMEC 2023)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] イオンビーム分析法を用いた電極/固体電解質界面のリチウム濃度分布その場測2023

    • 著者名/発表者名
      土屋文、小寺拓、鈴木耕拓、佐々木知子
    • 学会等名
      第70回応用物理学会 春の大会, 講演番号 16a-D519-6

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公開日: 2024-12-25  

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