研究実績の概要 |
初年度では、Ti-Nb二元系合金のNb含有量を38および42 mass%に固定し、それらに酸素(O)を種々変化させたTi-38Nb-xO(x=0.13, 0.24, 0.46, 0.56, 0.63, 0.74, 1.06)合金(mass%)およびTi-42Nb-xO(x=0.08, 0.12, 0.18, 0.41, 0.70)合金(mass%)を作製し、力学的特性を調査した。特に、Ti-42Nb合金では、酸素量の増加に伴い強度が上昇するが、延性は低酸素量で一旦低下するがそれ以上の酸素量では酸素量の増加に伴い延性が増大する傾向となった。これは、Ti-29Nb-13Ta-4.6Zr(TNTZ)合金(mass%)で酸素量の増大に伴う強度および延性の特異な傾向と一致する。このことから、Ti-Nb二元系合金においてもTNTZ合金の場合の酸素量に対する強度および延性の関係における特異現象が生じることがわかった。次年度では、Ti-42Nb合金での高酸素濃度における上記特異現象が再確認できなかったが、Ti-42Nb-xO合金 では、高酸素濃度においても、伸びが15%と良好で、強度が850 MPa以上となった。また、この合金系合金では、高酸素濃度となると降伏現象が発現することを認めた。これは、TNTZ合金で高酸素濃度になると同様な現象が発現する特異現象の1つである。最終年度では、高酸素含有量(0,7 mass%)TNTZ合金でのみ観察された降伏点が、高温あるいは高歪速度での引張り試験で不明瞭となることを明らかとした。したがって、高酸素含有量での降伏点現象は、転位の固溶酸素による固着により生じていると考えられる。すなわち、高濃度酸素含有量であるTNTZ合金での機械的性質の特異現象の一つである降伏点が現れる現象の間接的な解明に至った。
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