研究実績の概要 |
令和4年度は、主にBi2Ce2O7(BCO)粒子の調製とキャラクタリゼーション,異種元素をドープしたBCOに関する第一原理計算を実施した。錯体重合法でから得た前駆体を空気中500~700 ℃で焼成し、不純物相を含まないBCO相が生成することを粉末X線回折(XRD)測定により確認した。800 ℃焼成では、BCO相以外の小さな回折ピークが確認されBi2O3相に帰属されると推測された。5 mol% および10 mol% V-doped BCOでは、800 ℃で焼成しても不純物相のピーク強度がほとんど観察されなくなった。5 mol% V-doped BCOにCaやLaを共添加したところ、Ca添加では不純物相生成が促進され、Laでは抑制が維持された。引き続き、UV-vis吸光度測定を実施した。以前に実施したBi2Ti2O7(BTO)やBi2Zr2O7(BZO)では、不純物を含まない高純度のBTOやBZOを得ることが容易ではなく、バンドギャップを見積ることができなかった。これに対して、BCOでは高純度試料が得られ、空気中500~800 ℃で焼成されたBCOのバンドギャップが約2.4~2.5 eVであった。5 mol% および10 mol% V-doped BCOでは約2.5~2.6 eVであり、CaやLaを共添加した5 mol% V-doped BCOでは約2.5~2.6 eVであった。V単独ドープの場合と比較して、共添加では可視光領域において吸光度が増加することがわかった。そこで、カラーリーダーを用いてL*a*b*表色系における色度座標を調べた。黄色度はb*の値で評価される。異種元素をドープしていないBCOでは、500, 600, 700, 800 ℃で焼成後のb*値はそれぞれ43.4, 40.2, 42.8, 41.0であった。 5 mol% V-doped BCOのb*値は、それぞれ48.2, 45.0, 44.0, 42.9であった。さらに、Laを共添加した5 mol% V-doped BCOでは、それぞれ50.0, 48.9, 40.3, 41.4であり、600 ℃以下の焼成において最も高いb*値が得られた。第一原理計算では、BCOの構造最適化を実施した。
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