Fe-MnーCr-N合金のフェライト・ベイナイト変態に対し,形態・結晶学・成長速度および溶質分配の観点から調査し,正変態挙動に及ぼすMnおよびCrの影響および機械特性を調査した.変態温度が低下するに伴い生成するフェライトの組織はAF,WFおよびBFへと変化し, Mn添加量の増加に伴い遅延した. ベイナイト変態させたFe-0.3N材および1Mn材の機械特性は,残留γ体積率の増加により均一伸びおよび加工硬化量が増加し,TRIP効果の発現が確認された。また,Fe-0.3N材と1Mn材では強度-延性バランスは同程度であった。2Mn1Cr材では降伏応力が大きくなり破断強度が高くなったが伸びは低下した.
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