今年度は、Mg100-x-yInxAlyにおいて、(x=16~20at.%,y=0~6at.%)の組成範囲で合金を作製し、FCC相の単相合金の作製を試みた。その結果、Mg75In20Al5合金において、FCC単相合金が作製できた。密度は3.01 g/cm3である。熱処理後に室温で80%の圧延が可能であった。次に、難燃性を付与するために、CaまたはYを、いずれの添加量も1at%として合金を作製した。Caを添加した合金では、Mg-In-Al-Caの4元化合物が、また、Alを添加した合金ではAl2Yが生成することが明らかとなった。CaとYを添加したMg-In-Al合金について室温にて圧延を行ったところ、硬さ値は熱処理後の60HVから120HV程度まで硬くなったが、いずれも化合物が破壊の起点となり、30%程度の圧下率で割れを生じた。このことはMg-In-Al合金に難燃性を付与するための元素添加においては、化合物相を形成する傾向があり、CaやYを含む合金ではFCC単相組織の形成が困難であることを意味する。作製した合金について難燃性(JIS H 0544に基いて)を調べた結果、作製したMg75In20Al5合金では発火して試料の大部分が酸化するまで燃焼し、難燃性を有さなかったが、Mg74In20Al5Ca1合金やMg74In20Al5Y1合金では、溶落物および試験片が発火したものの、わずかな時間で燃焼が止まった。これは燃焼による温度上昇に伴ってCaやY原子が拡散し、酸化被膜が生成して合金内部を保護したためであると考えられる。Mg74In20Al5Ca1合金熱処理材は密度3.00g/cm3であり、優れた室温加工性と難燃性を有していた。
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