研究課題/領域番号 |
20K05152
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
山田 基宏 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00432295)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | コールドスプレー / 酸化チタン / 光触媒 / 可視光応答 / 酸素欠損 |
研究実績の概要 |
酸化チタンを光触媒として用いる際、紫外光でしか反応が起きないことから、屋内での利用には適さないという問題があった。これに対し、コールドスプレー法による酸化チタン成膜において、プロセスガス温度が高い条件で得られる皮膜が黄色に変色することが確認できており、この色変化は可視光を吸収する可視光応答型光触媒として適用できる可能性がある。この色変化の原因が未解明であることから調査を行った。プロセスガス温度が低い(300℃以下)条件と高い(400℃以上)の条件で酸化チタン皮膜を作製し、低温で得られる白色皮膜と高温で得られる黄色皮膜での比較を行った。各皮膜の紫外可視分光光度計による評価からバンドギャップを測定したところ、黄色皮膜は低いバンドギャップ値を示し、可視光応答の可能性を示した。酸化チタン光触媒を可視光応答型にする場合、窒素ドープ、金属ナノ粒子添加、酸素欠損形成などの手法があるが、今回は金属粒子の添加を行っていないため、窒素ドープと酸素欠損に着目して色変化の原因調査を行った。コールドスプレー法では高温高圧の窒素ガスをプロセスガスとして用いているが、通常は不活性ガスである窒素が皮膜中にドープされるとは考えにくい。実際にXPSを用いて白色と黄色の酸化チタン皮膜の評価を行ったところ、いずれも窒素に起因するピークは見られず、また他の不純物による違いも見られなかった。一方で、XPSによる酸素欠損に関する分析結果からも大きな違いは見られず、酸素欠損を示す三価のチタンピークを確認することもできなかった。ただし、黄色皮膜を大気雰囲気の電気炉で加熱することで白色になることが確認できた。これは酸素欠損が過熱によって再度酸化されて白色に戻ったと考えられ、XPSでは確認できなかったが、酸素欠損が色変化の大きな要因であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実施計画にあるコールドスプレー法における固体セラミックス粒子接合メカニズム調査は初年度に実施し、今年度は可視光応答が期待できる黄色酸化チタン皮膜の作製条件の選定とその変色メカニズムについての調査を行っており、進捗状況はおおむね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
コールドスプレー法におけるセラミック粒子付着メカニズムに関する調査を継続して行うとともに、可視光応答型光触媒酸化チタン皮膜の作製及び評価を行っていく。特に可視光応答型光触媒酸化チタンの作製には金属ナノ粒子を添加する手法があることから、銅‐酸化チタン複合皮膜の作製も行っていく。ナノ粒子ではなくコールドスプレー法に好適な粒径の銅粉末を使用することから、可視光への反応性への寄与は小さいと考えられるが、プロセスガス温度による色変化を併用し、銅粒子を添加することによる実用的な機械強度を有する皮膜の形成を試みる。酸化チタン粉末に添加する銅粉末の粒径や混合比を検討し、それとともにコールドスプレー条件も適正化することで、最適な成膜条件を選定する。そして、得られた銅‐酸化チタン皮膜に対し、光触媒特製の評価として、添加材料である銅の寄与も期待できる抗菌作用に関する評価を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表などの旅費として使用することを検討していたが、出張を行うことがなかったため、次年度のコールドスプレー実験における消耗品(プロセスガス)として使用する。
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