研究課題/領域番号 |
20K05154
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡野 成威 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (00467531)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ひずみ / 溶接部 / 凝固過程 / 数値シミュレーション / その場観察 |
研究実績の概要 |
本研究では、従来までの『溶接高温割れ感受性評価試験方法』における課題を解決し、新しい評価方法を構築することを目指して、1. 冶金・力学統合モデリングによる高度溶接シミュレーション技術の構築、2. 溶接現象観察技術を援用した溶接高温割れ現象・メカニズムの可視化、3. 溶接割れ発生限界評価指標とそれを用いた限界条件の探求、の項目に取り組むことで、プロセス物理/材料科学/力学の相互作用により生じる複雑な材料現象に対する理解の深化に貢献することを目指している。 当該年度では、冶金・力学統合モデリングによる高度溶接シミュレーション技術の構築に向けて、トランスバレストレイン試験を模擬した数値シミュレーションモデルを作成し、溶融凝固過程でのひずみ挙動を数値化することができた。加えて、溶接現象その場観察技術の確立にも取り組み、上記の数値シミュレーションによる結果と突き合わせて比較検証することで、各々の技術の有用性について詳細に検証を行った。その結果、両者は定量的にもよく一致しており、各々の技術の精度が十分であることが確認できた。また、従来から広く知られているひずみ挙動とは異なる挙動が生じていることが、数値シミュレーション・実験の両者から確認でき、本申請課題の新規性ならびに異議を改めて確認することができた。これらの技術を活用し研究をさらに推進していくことによって、次年度では、上記項目1と2について共に完成度を高めていくことで、最終年度での検討項目(上記3)の検討につなげていくことができると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍もあり年度初めの取り組みはやや遅れることとなったが、検討項目の1. 冶金・力学統合モデリングによる高度溶接シミュレーション技術の構築と2. 溶接現象観察技術を援用した溶接高温割れ現象・メカニズムの可視化、を並行して進める方針に変更し、その遅れをある程度取り戻すことができた。上記項目1.と2.を並行して進めることでそれぞれで得られた知見をうまく活用することができ、本年度の検討内容に関してはうまく効率をあげることができた部分があったといえる。また、項目1の高度化に向けた冶金シミュレーション環境の構築には比較的大きな費用が必要となる部分もあり、次年度に交付される予算と合算することでより効果的に構築できていけるものと判断されたため、当該年度での取り組みを一部変更し、項目2の取り組みについても初年度から並行して進めることに変更した。次年度では、当初の2年間の予定内容に結果的に一致するように研究を進め、最終年度にうまくつなげていけるように計画している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では、当初予定した検討項目の検討項目の1. 冶金・力学統合モデリングによる高度溶接シミュレーション技術の構築と2. 溶接現象観察技術を援用した溶接高温割れ現象・メカニズムの可視化、を引き続き並行して取り組むことで、予定通りの2年間をかけてこれらの項目を達成する予定である。数値シミュレーションおよびその場観察技術を駆使した各種評価手法を構築することによって、最終年度の検討項目である3. 溶接割れ発生限界評価指標とそれを用いた限界条件の探求、にうまく発展させていけると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により年度初めに生じた遅れは年度後半で大きく取り戻せたものの、冶金シミュレーションとの統合化の部分で少し遅れを生じた。また、次年度の予算と合わせて使用することで、計算機シミュレーション環境をより効率的に構築できる目処が立ったため、当該年度では大型の予算の使用を控え、その周辺技術の確立をメインに研究を進めた。次年度に交付される研究費と合わせて、冶金シミュレーション環境の構築と強化を行い、研究をさらに推進していく環境を整えていく予定である。
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