研究課題
2021年度の検討において,陽極酸化とALDによるTiO2コーティングを組み合わせた手法によって,従来法では作製が困難であった大周期メンブレンの形成が可能であることを示した.これは,陽極酸化ポーラスアルミナ表面にALDによって形成されたTiO2薄膜が,アルミナ層のエッチングマスクとして機能するという発見に基づくものである.陽極酸化を行った試料に,ALDによるTiO2薄膜の成膜を行った後,再度陽極酸化を実施すると,TiO2で被覆されたアルミナ層と,TiO2で被覆されていないアルミナ層からなる二層構造を形成することができる.得られた試料にエッチングを行うと,TiO2コーティングを行っていないポーラスアルミナ層のみ溶解除去され,TiO2コーティングを行ったポーラスアルミナ層が,スルーホールメンブレンとして溶け残り,地金より剥離することができる.2022年度では,この様にして得られたアルミナメンブレンの光触媒特性について検討を進めた.本研究では,特に,細孔配列の規則的なアルミナメンブレンと,不規則なアルミナメンブレンの特性比較を行うことを中心に検討した.細孔が規則的に配列したアルミナメンブレンは,各細孔が深さ方向に対して直行しているのに対して,細孔配列が不規則なメンブレンでは,各細孔は,枝分かれ構造や斜めに成長した部分を有する.両社の膜構造の違いは,皮膜の透明性に大きな影響を与え,透過率に大きな違いがあることが分かった.二種類のアルミナメンブレンを用いて,メチレンブルーの分解試験により光触媒特性の評価を行った結果,細孔が規則的に配列し透明性の高いメンブレンの方が,細孔配列が不規則なメンブレンと比較として高い光触媒特性を有することが示された.これは,細孔配列が規則的で透明性が高いメンブレンでは,細孔の深い位置に成膜された酸化チタンも光触媒として利用できたためであると考えている.
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件)
RSC Advances
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