研究課題/領域番号 |
20K05174
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
宮沢 靖幸 東海大学, 工学部, 教授 (20256168)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | ろう材 / その場観察 / 浸透 / ぬれ / 試験片形状 |
研究実績の概要 |
本研究では、その場観察法により溶融ろう材の挙動を詳細に解析し、ろう材の不均質なぬれや・広がりの原因を明らかにし、ろう付欠陥の低減などろう付性の向上を目的としている。従って、その場観察が可能なろう付実験装置とその場観察に適用可能な形状の試験片の作製が必要である。しかしながら、溶融ろう材の挙動が観察可能なその場観察装置は市販されていない。そこで、電気炉製造企業と詳細な検討を行い、市販の縦型電気炉に改造を加えた。具体的には、石英ガラス製の試験片固定台、挙動観察用窓を新たに導入した。交付された基金を用い、改造した縦型電気炉を購入した。 一方、同時にその場観察に適用可能な試験片の試作も行った。これまでの研究から板状母材を用いた単純なぬれ・広がり試験では、ろう付時の溶融ろう材の挙動解析が出来ない事は明らかであったので、最初に幅0.5mmのすき間を持つ黄銅製試験片を試作した。試作試験片を用いた予備実験を、ろう付と比較して作業温度が低いはんだ付で行った。予備実験の結果、溶融はんだの挙動を観察する事は可能であったが、観察結果を記録した動画などから挙動を解析する事は困難であった。また、溶融はんだの挙動が高速であり、一般的なビデオ録画では対応できない事も明らかとなった。 そこで、一般的なろう付継手を再現し、その場観察が可能な試験片形状を考案した。試作とその場観察予備実験を繰り返した結果、Vブロック形状の試作試験片が適切な形状である事を見いだし、現在、試験片形状の最適化を行っている。また、その場観察装置を用いたVブロック形状試験片によるその場観察予備実験では、解析可能な挙動観察動画が記録された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに改造したその場観察装置の設置は完了しており、予備実験実施に向けた準備を行っている。特に重要な「一般的なろう付継手を再現し、その場観察が可能な試験片形状」が決定した。現在、予備実験を行い、試験片形状の最適化を行っている。 また、その場観察時の溶融ろう材の挙動を動画記録する事にも成功しており、記録した動画から詳細な挙動解析を試みている。 従って、現在までの進捗状況は、「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
交付された基金により改造したその場観察装置の購入は完了し、予備実験の準備は完了している。平成31年度は、Vブロック形状のその場観察試験片を最適化し、その場観察装置を用いた予備実験を実施する。計画はおおむね順調に進展しているので、当初の計画通り、平成31年度後半から本実験を開始する予定である。 また、その場観察した試験片を装置から取りだし、溶融ろう材の挙動へ詳細な検証を加えるために、ぬれ広がった溶融ろう材の外形の正確な形状測定を試みる予定である。
|