研究課題
その場観察法によりろう付時の溶融ろう材のぬれ広がり現象に検討を加えた。一方、現状、ろう付温度に加熱しながら、その場観察できる市販装置は存在しない。そこで、本予算で購入した市販縦型炉を改造し、その場観察装置を自作した。また、ろう付は、溶融ろう材を固体金属などで構成される継手のすき間へぬれによって浸透させ、接合する技術である。従って、溶融ろう材のすき間への浸透を直接観察する事はできない。そこで、その場観察に適した試験片を本研究では開発した。一般にぬれは、拡張ぬれ、付着ぬれ、浸漬ぬれに分類される。一般的なぬれの評価は、JISなどで規格化された評価法を用いる。この評価方法では、金属平板上に極めて少量の液相ろう材を設置して、ぬれを評価する。液相ろう材は、金属平板上をぬれ広がり、広がった面積でぬれを評価する。一方、実際のろう付では、比較的狭いすき間へ液相ろう材が浸透する。両者はぬれの形態が異なり、その評価方法や評価用試験片形状も異なる。ところが実際のろう付継手では、拡張ぬれと浸漬ぬれが同時に生じ、継手を形成する。従って、その場観察法で液相ろう材のぬれ広がりを詳細に調査する場合、形態が異なるぬれを同時にその場観察できる新たな形状の試験片を開発し、使用する必要がある。そこで、本研究では新しい形状の試験片を開発し、研究を行った。また、この試験片は現在、注目度が高い異種金属材料間のろう付時のろう付性評価に利用できる事も判明した。その結果、すき間への浸透では、浸漬ぬれが優先的に生じ、拡張ぬれの寄与は小さかった。一方、金属平板上へのぬれは拡張ぬれである事が再確認され、ぬれは一次ぬれと二次ぬれとに分類できる事が判明した。さらに、一次ぬれと二次ぬれの発生順序は母材やろう材の組合せによって変化する事が判明し、ろう付部に生ずる接合欠陥の発生メカニズムを明らかにできる可能性が示唆された。
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銅と銅合金
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