研究課題/領域番号 |
20K05178
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
伊高 健治 弘前大学, 地域戦略研究所, 教授 (40422399)
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研究分担者 |
角谷 正友 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主席研究員 (20293607)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | シリコン / フラックス / 太陽電池 / 水素ラジカル / 熱力学計算 |
研究実績の概要 |
現行の太陽電池の9割以上を占めるシリコン太陽電池(結晶系及び薄膜系)の原料は、シリカ(二酸化シリコン、SiO2)である。一般に還元反応には、炭素・水素などの還元剤を用いる方法や電気分解法などがあるが、電気分解は大量の電力消費を伴うため、低コストプロセスには炭素が還元剤として用いられる。しかしながら、炭素による還元は、製鉄業などを同じく、大量の二酸化炭素の排出を伴うため、化石燃料による発電や木質系バイオマス発電を除いた発電方法では、最も二酸化炭素を排出するために、今後の太陽光発電普及の問題となりうる。 そこで、水素ラジカルを用いたシリコン還元の可能性について、検討を進めている。Gibbsエネルギー的には水素で二酸化珪素を還元するのは現実的な温度範囲では難しく、現実的には還元出来ていない。そこで、すでに水素還元のオコナワrf得ているSiCl4についての熱力学計算を行った。700℃という低温であっても、活性化率が50%程度あれば、15%程度向上することがわかった。水素ラジカルの実験については、還元出来る可能性の高い一酸化ケイ素SiOにフォーカスして実験を進めていく予定である。一方、ニッケルフラックスの現象解明については、新たに設計したカーボンルツボで実験を行い、中間状態の解明を進めていく。ニッケル添加したプロセスについては、現在、反応途中段階を観察するように装置改良を進めており、ルツボのデザインなどの設計が終了しており、中間段階の試料作成に向けて還元炉の構成を変更しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、水素ラジカルを用いたシリコン還元の可能性について、検討を進めている。水素ラジカルの発生に関しては順調に進んでおり、管状型の水素ラジカル発生装置でラジカルが発生していることを確認している。また熱力学計算によると、SiCl4については、700℃という低温であっても、活性化率が50%程度あれば、15%程度向上することがわかった。一酸化ケイ素と水素ラジカルの反応性の可能性についても検討をすすめており、熱力学計算の観点からと反応実験装置の設計を進めており、基礎設計が終了したところである。シリコンーニッケルフラックスの現象解明については、ニッケルを添加したプロセスについては、現在、反応途中段階を観察するように装置改良を進めており、ルツボのデザインなどの設計が終了している。SiOガスの生成反応とSiCからSiの生成反応を切り分けられるような反応経路を構成する必要があり、中間段階の試料作成に向けて還元炉の構成を変更しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナのまん延によって、共同研究実験に必要な移動の制限や実験室における実験そのものが規制されたために、当初想定していたような研究計画に沿って進めることが出来なかったが、比較的感染状況が改善してきており、ルツボの設計や熱力学計算など影響の少ない研究内容については順調に進めることが出来てきており、コロナの制約下でもできる実験に絞って研究を進めていく。水素ラジカルの実験については、還元出来る可能性の高い一酸化ケイ素SiOにフォーカスして実験を進めていく予定である。一方、ニッケルフラックスの現象解明については、新たに設計したカーボンルツボで実験を行い、中間状態の解明を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナのまん延に伴って、共同実験のための移動、学会の中止やオンライン化など起きたことや、実験自体もさまざまな制約が課せられた時期があるため、当初の計画どおりには進めることが出来なかったことが理由である。令和4年度については、いろいろと緩和されてきており、また感染対策をしっかりとして実験の進捗を加速させる。
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